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怖い病気の予兆

「下痢が多い」「便に血が…」働き盛りを襲う潰瘍性大腸炎が急増中!

第26回 大腸がんのリスクを高める難病は早期発見がカギ

 荒川直樹=科学ライター

症状は寛解期と再燃を繰り返す

 潰瘍性大腸炎は、大腸に炎症が広がり強い症状が表れる「活動期」と、炎症が治り症状が改善する「寛解期」を繰り返すという特徴がある。根治治療がない現在では、薬物により炎症を抑え、できるだけ「寛解期」を延ばすことが治療の目標だ。

潰瘍性大腸炎の活動期と寛解期
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 軽症の場合、主に使われるのが「5−アミノサリチル酸製剤」(成分名:メサラジン、サラゾスルファピリジン)と呼ばれる種類の薬だ。この薬は、内服することにより、成分が腸の内側から働き、炎症を抑える働きがある。全身の副作用が少なく長期にわたって飲み続けることができる薬で、「寛解期」になってもずっと飲み続けることが重要だ。

 一方、中等症以上の「活動期」で、5−アミノサリチル酸製剤では炎症を抑えきれないときに使われるのが、ステロイド薬(成分名:プレドニゾロンほか)およびステロイド薬と免疫調節薬(成分名:アザチオプリン、タクロリムスほか)の併用だ。ただステロイド薬にはいくつかの重要な副作用(血糖値や血圧の上昇、骨粗しょう症、感染症にかかりやすくなるなど)がある上、寛解期間を延ばすことが科学的に証明されていないので、「寛解期」には用いることができない。

ステロイドを補助する新薬が次々登場

 そのため、従来の治療の大きな課題となっていたのが、ステロイド薬で十分な効果が得られなかったり、ステロイド薬をやめるとすぐに再燃したりしてしまう場合だ。

 前田さんは「十数年前まで、ステロイド薬で症状が改善されないときは、手術で大腸を全て摘出する治療を行わざるを得ないこともありました。炎症のある部分だけを摘出しても残った腸管から炎症が再燃したり、大腸がんが発症しやすいことが分かってきたため、全摘出が標準治療となっています」と解説する。

 しかし近年、新たな治療薬の登場により、手術治療に至らないケースが増えているという。その一つが、生物学的製剤である抗TNF-α抗体製剤(成分名:インフリキシマブ、アダリムマブ、ゴリムマブ)だ。

 抗TNF-α抗体製剤はステロイドに匹敵する効果が得られる上、寛解期にも使えるという。薬剤によっては8週間に一度、定期的に注射するだけで症状をコントロールでき、患者のQOL(生活の質)を高めることができるという。

 なお抗TNF-α抗体製剤には長期間使うと患者の体に薬剤に対する抗体ができ、効果が得られなくなるという問題があったが、それを克服するために2018年に登場したのが、ベドリズマブ(抗α4β7インテグリンモノクローナル抗体)だ。ベドリズマブは全身の免疫を抑えずに腸にだけ効くという特徴があり、抗TNF-α抗体製剤と作用機序が異なるので、抗TNF-α抗体製剤が効かなくなった患者にも効果が期待できる。

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