「誤嚥を防ぐコツ」「のどはどう鍛える?」 あなたの悩みに名医が回答!
肺炎・呼吸器のエキスパート・池袋大谷クリニック院長の大谷義夫先生(後編)
伊藤和弘=ライター
「健康Q&A」では、日経Goodayの連載や特集でおなじみの医師や研究者など、健康・医療のエキスパートが月替わりで登場。あなたの疑問やお悩みに答えます。
今月の回答者は、肺炎・呼吸器疾患のエキスパートとしてテレビなどでもおなじみの池袋大谷クリニック院長の大谷義夫先生です。今回は、「のどを鍛える方法」「食事中の誤嚥を防ぐコツ」などについての相談に答えていただきました。
編集部 前編では、「肺炎と風邪の違い」「通常の肺炎と誤嚥性肺炎の違い」といった基本から、「のどの老化度をチェックする方法」までを、肺炎・呼吸器疾患のエキスパートとしてテレビなどでもおなじみの池袋大谷クリニック院長 大谷義夫さんに伺いました。
後編では、具体的にのどを鍛える方法、食事中の誤嚥を防ぐコツなどについての相談にお答えいただきます。
のどを鍛えるにはどうすればいい?
声を出すことで、のどは鍛えられるでしょうか? 会社勤めの間は大きな声で会話をしていましたが、今は丸一日ほとんど人と話さない日もあり、その落差が自分でも怖いくらいです。「歌をうたう」「お経をあげる」などは有効ですか? (80代男性)
編集部 のどを鍛えて「のど年齢」を若返らせるにはどうすればいいのか、という質問ですね。この質問と同様に、のどの鍛え方についての質問は他の方からも多く寄せられています。
大谷 この方のように、男性はリタイアするとめっきり会話する機会がなくなる人が少なくありません。日常会話も含めて、声を出すことは、のどの老化を抑える上でとても大切です。声を出す力が弱くなると飲み込む力も弱くなり、のどの老化が進んで、むせやすくなります。
実際、喋る職業の人、例えばアナウンサーに「ゴックンテスト」をやってもらうと、たくさん飲み込めるんですよ。中には60代で16回できた方もいました。

編集部 60代で16回はすごいですね! 前編でも触れましたが、40代後半の私(編集部AO)は7回しかできませんでした…。
大谷 リタイア後は積極的に人と話すように心がけることが大切です。シニアの合コンもいいと思いますよ(笑)。
編集部 人と話す以外にも、この方のおっしゃる通り、「声を出す」のは良さそうですね。
大谷 はい。カラオケやお経はいいと思います。お経に限らず、「音読」は手軽にできるのでお勧めです。好きな本でも新聞の社説でも何でも構わないので、声に出して読んでみる。1日3分するといいでしょう。
また、スムーズに咳反射をするためには、肋骨を動かす肋間筋や横隔膜などの「呼吸筋」が重要になります。呼吸筋が弱くなると肺活量が落ちるし、気道に異物が入ったときの咳反射もうまくできません。呼吸筋も筋肉なので、トレーニングによって鍛えることができます。
編集部 どんな運動をすれば呼吸筋が鍛えられますか?
大谷 私は「タオルストレッチ」(下図)などの運動を勧めています。簡単な運動なので、お風呂上がりなどに毎日やるといいと思います。
会話や音読など、「声を出す」ことでのどを鍛えることができます。また、タオルストレッチなどで呼吸筋を鍛えておくと、異物が気道に入ってもスムーズに咳反射ができるようになります。
- 「タオルストレッチ」のやり方
