「のどの老化度はどうチェックする?」あなたの悩みに名医が回答!
肺炎・呼吸器のエキスパート・池袋大谷クリニック院長の大谷義夫先生(前編)
伊藤和弘=ライター
「健康Q&A」では、日経Goodayの連載や特集でおなじみの医師や研究者など、健康・医療のエキスパートが月替わりで登場。あなたの疑問やお悩みに答えます。
今月の回答者は、肺炎・呼吸器疾患のエキスパートとしてテレビなどでもおなじみの池袋大谷クリニック院長の大谷義夫先生です。前編となる今回は、「肺炎と風邪の違い」や「通常の肺炎と誤嚥性肺炎の違い」といった基本から、「のどの老化度をチェックする方法」までを大谷先生に伺っていきます。

編集部 がんや心疾患と並び、肺炎は代表的な日本人の死因の1つとなっています。最近は高齢者に多い誤嚥性肺炎に対する関心も高まってきました。池袋大谷クリニック院長の大谷義夫先生は、肺炎をはじめとした呼吸器疾患のエキスパートとして、これまでに日経Goodayにも度々ご登場いただいています。
そんな大谷義夫先生に向けて、肺炎に関する読者からの質問を募集したところ、とても多くの質問が寄せられました。たくさんのご質問、ありがとうございました。大谷先生の回答を、前編・後編の2回に分けてお届けします!
大谷 本日はよろしくお願いいたします。
編集部 ではさっそく、最初の質問です。
風邪が悪化すると肺炎になるってホント?
40代半ばから風邪をひくことが多くなり、さらに治りにくくなっています。年を取ったら肺炎で死ぬのではないかと心配です。よく「風邪をこじらせて肺炎になる」という話を聞きますが、実際に風邪が悪化して肺炎を起こすことはあるのでしょうか? (40代男性)
編集部 確かに、「風邪をこじらせて肺炎になる」という話はしばしば耳にします。
大谷 風邪というのは上気道、つまり「のどまでの感染」です。それに対して、のどより下(奥)が感染すると気管支炎や肺炎になります。
風邪をひいて扁桃腺が腫れやすい人がよく「のどが弱いんです」と言いますけど、のどはウイルスや細菌の関所ですから、扁桃腺が腫れるというのはそこで止めているということです。そういう意味では、扁桃腺が腫れやすい人は免疫が強い、むしろ「のどが強い」とも言えます。

編集部 肺炎というのは文字通り、肺に炎症が起きる病気ですね。風邪をひいたことがきっかけで肺炎を起こすこともあるのでしょうか?
大谷 ありますよ。特に高齢者は風邪やインフルエンザから肺炎を起こしやすいです。例えばA型インフルエンザで肺炎を合併する割合は、80歳以上で13.3%、65~79歳で2.1%、16~64歳で0.8%という報告が出ています(2002-2003年シーズンのデータ/臨床と研究. 2004;81:1614-1618.)。高齢者ほど肺炎を起こしやすいのですが、若い人でも見られます。