「強い尿意でトイレが間に合わない…」読者の悩みに名医が回答!
日本大学医学部泌尿器科学系主任教授・高橋悟先生(中編)
伊藤和弘=フリーランスライター
「健康Q&A」では、日経Goodayの連載や特集でおなじみの医師や研究者、アスリート、トレーナーなど、健康・医療のエキスパートの方々が月替わりで登場。あなたの疑問やお悩みに答えます。
今月の回答者は天皇陛下の前立腺がんの手術にも参加し、「頻尿」や「前立腺」の記事で日経Gooday読者にもおなじみ、日本大学医学部泌尿器科学系主任教授の高橋悟先生です。前編に引き続き、中編をお届けします。
日本大学医学部泌尿器科学系主任教授・高橋悟先生Q&A
Q 1
Q 2
夜、1時間ごとにトイレで目が覚めてしまう。どうすれば治る?(前編)
Q 3
Q 4
Q 5
Q 6
Q 7
Q 8
Q 9
Q10
編集部 前回は、頻尿や前立腺肥大症についての質問を中心にうかがいましたが、今回のお悩みは、強い尿意や尿失禁にまつわるものです。それでは早速、ご回答をお願いします。
急な尿意でチャックを開けるのも間に合わず、漏らしてしまう
日ごろからトイレが近いです。トイレに行って小便器の前に立つと、急に強い尿意をもよおし、チャックを開ける前に少し漏らしてしまうこともあります。どのような対応をすればいいでしょうか? なお、内科医より「ベシケア」という薬を処方され、服用しています。 (60代男性)

高橋 これは典型的な過活動膀胱の症状ですね。
編集部 過活動膀胱とは、どのような病気なのでしょうか?
高橋 急に起こって我慢するのが難しい強い尿意、これを尿意切迫感と呼ぶのですが、まずこの尿意切迫感がある。さらに頻尿、つまり昼間8回以上、夜1回以上トイレに行っている状態、あるいは間に合わなくて漏らしてしまう切迫性尿失禁、このいずれかがあれば過活動膀胱ということになります。だから、この方はおそらく過活動膀胱でしょう。膀胱がんとか、ほかの病気がなければね。過活動膀胱の治療薬を飲めば良くなると思います。
編集部 この方はベシケア(一般名:ソリフェナシン)という薬を飲んでいるそうです。
高橋 ベシケアというのは抗コリン薬と呼ばれる種類の薬で、過活動膀胱の治療薬です。ただ、男性だったら前立腺肥大症も合併している可能性があり、その場合、前立腺肥大症のα1ブロッカーを飲んで、それでもダメだったら過活動膀胱の薬を併用したほうがいいです。
編集部 それはなぜですか?