「ダイエットに効く入浴法」「入浴剤はどれがいい?」 読者の悩みに名医が回答
お風呂と温泉の専門家・東京都市大学教授の早坂信哉先生(後編)
茅島奈緒深=ライター
「健康Q&A」では、日経Goodayの連載や特集でおなじみの医師や研究者など、健康・医療のエキスパートが月替わりで登場。あなたの疑問やお悩みに答えます。
今回の回答者はお風呂・温泉と健康の関係を医学的に研究している医師で、東京都市大学教授の早坂信哉先生です。
東京都市大学教授・早坂信哉先生Q&A
Q 1
Q 2
お酒を飲むなら、お風呂に入る前と後ではどちらがいいですか?(前編)
Q 3
風邪で発熱したら、お風呂に入って汗を出すといいって本当?(前編)
Q 4
Q 5
Q 6
Q 7
Q 8
Q 9
Q10

編集部 前編では、主に体にいいお風呂の入り方を中心に、医師で東京都市大学教授の早坂信哉先生にお聞きしました。後編では、ダイエット効果や美肌効果があるお風呂の入り方、さらには正しい温泉の入り方についてお答えいただきましょう。では、さっそく最初の質問です。
冷えやダイエットに効くお風呂の入り方はありますか? 両方とも、お湯を熱くしたほうが効果がありそうですが……。(25歳女性)
編集部 最近では、若い男性でも冷えに悩んでいる人が増えているそうです。
早坂 冷えは西洋医学的な概念ではなく、病態として統一的に定義されていません。そのため、明確な治療法も確立されていませんが、冷えは手足の末梢の血行不良です。したがって、入浴による温熱効果によって解消しやすくなります。ただし、お湯を熱くするのは間違いです。熱いと瞬間的に体温が上がりますが、その分下がるのが早く、温かさが持続しません。お湯の温度はいつもどおり、38~41℃を守ってください。
血行を促すために、温冷交代浴もお勧めです。まず40℃のお湯に3分つかったら湯船から出て、30℃ぐらいのシャワーを手足に30秒かけます。これを2回繰り返し、最後にもう一度お湯に3分つかればOKです。慣れてきたら、手足にかけるシャワーの温度を少し下げてもいいでしょう。温かいお湯で血管が拡張し、冷たい水で血管が収縮します。この拡張と収縮の繰り返しによって血行を促すことができるのです。
編集部 ダイエットには、長湯してたくさん汗をかくといい、と思っている人が多そうですが、本当に効果があるのでしょうか?
早坂 残念ながら、長湯してたくさん汗をかいても安静時より余計に消費されるカロリーは50~60kcal程度。安静時と大差なく、体内の水分が奪われるだけですから、水を飲めば元に戻ります。お風呂だけでやせるのは難しそうです。
しかし、これは理論的なことで、実験で証明されてはいませんが、食後30分以降の、一番血糖値が上がるタイミングで入浴すると、血糖値の上昇を防げて、脂肪がつきにくくなります。よく、ウォーキングなどの軽い運動も、食後30分にすると血糖値の上昇を防げると言われますが、それと同じで入浴すると代謝が少し上がるため、同じ効果があると考えられるわけです。
冷えは、入浴による温熱効果によって解消しやすくなります。お湯を熱くしても、体温が瞬間的に上がるだけで下がるのも早いので、38~41℃を守ってください。お湯につかってから冷たいシャワーを手足にかける温冷交代浴もお勧めです。ダイエットには、食後30分以降の、一番血糖値が上がるタイミングで入浴すると効果的でしょう。
編集部 ダイエットに効く入浴法も、習慣として続けると効果が出そうですね。次は、乾燥肌に悩む方からの質問です。