「軽い脂肪肝は放置してもいい?」「肝機能が改善しない…」あなたの悩みに名医が回答!
筑波大学附属病院消化器内科教授・正田純一先生(後編)
伊藤和弘=ライター
「健康Q&A」では、日経Goodayの連載や特集でおなじみの医師や研究者など、健康・医療のエキスパートが月替わりで登場。あなたの疑問やお悩みに答えます。
今月の回答者は「肝臓の専門家」として名高い、筑波大学附属病院消化器内科教授(肝臓生活習慣病外来担当)の正田純一先生です。
筑波大学附属病院消化器内科教授・正田純一先生 Q&A
Q 1
毎年γ-GTPが高値に。脂肪肝はないが、どうすればいい?(前編)
Q 2
お酒を飲まないのにγ-GTPが高い。果物が良くないって本当?(前編)
Q 3
もともと悪かった肝機能が、ジムに通い出したらさらに悪化(前編)
Q 4
テレビで見た「FIB-4 index」が高値。これって「隠れ脂肪肝」?(前編)
Q 5
筋肉増強サプリを飲んでいたら、肝機能が悪くなってしまった(前編)
Q 6
Q 7
Q 8
Q 9
Q10

編集部 前編では、健康診断でγ-GTPなど肝機能の数値が高いと指摘されたときの対処法を中心に、肝障害の専門家である正田純一先生にお聞きしました。後編ではさらに一歩進み、「脂肪肝」や「肝炎」と診断された方たちの相談にお答えいただきましょう。では、さっそく最初の質問です。
肝機能に異常がない脂肪肝の対処法は?
何年も前から軽度の脂肪肝を指摘されています。肝機能の数値は特に悪くないので経過観察になっているのですが、このままで問題ないでしょうか?(43歳男性)
編集部 きっと人間ドックなどでエコー(超音波)検査を受けると、毎回脂肪肝と診断されるわけですね。しかし、γ-GTPなど肝機能の数値には問題がないと。
正田 脂肪肝があるだけで、肝機能異常は起こしていない。こういう方はとても多いです。
編集部 経過観察ということですが、要は放っておいて様子を見ているということですね。本当にそれでいいのか、不安になる気持ちは分かります。
正田 基本的にはそれで良いと思います。日本肝臓学会のガイドラインでも、炎症や線維化が見られない、良性の「単純性脂肪肝」は、経過観察となっています。でも本当に問題ないのかご心配であれば、肝臓の専門医がいる医療機関で詳細な血液検査、エコー検査とエラストグラフィ(肝臓の硬さを見る画像検査)も一応受けた方がいいと思いますが、それで特に何もなければ、「単純性脂肪肝」の診断のもと、あとは1年に1~2回受診して経過観察をしていけば良いでしょう。

大切なことは、脂肪肝は肝臓の病気ですが、脂肪や筋肉の異常により引き起こされる病気だということです(関連記事参照)。どうして脂肪肝になってしまったのか、その原因を考え、生活習慣の改善に目を向けることも必要です。