「体にいいお風呂の温度は?」「一番風呂は体に悪い?」 読者の悩みに名医が回答
お風呂と温泉の専門家・東京都市大学教授の早坂信哉先生(前編)
茅島奈緒深=ライター
「健康Q&A」では、日経Goodayの連載や特集でおなじみの医師や研究者など、健康・医療のエキスパートが月替わりで登場。あなたの疑問やお悩みに答えます。
今回の回答者はお風呂・温泉と健康の関係を医学的に研究している医師で、東京都市大学教授の早坂信哉先生です。
東京都市大学教授・早坂信哉先生Q&A
Q 1
Q 2
Q 3
風邪で発熱したら、お風呂に入って汗を出すといいというのは本当?
Q 4
Q 5
Q 6
Q 7
Q 8
入浴剤の種類が多すぎて、どれを使ったらいいかわかりません。(後編)
Q 9
Q10
編集部 夏場はシャワーで済ませていても、寒くなってくるとお風呂に入って温まりたくなりますよね。温泉を楽しむにも、冬は格好の季節です。でも意外と、体にいい正しい入り方は知られていないかもしれません。
医師で、東京都市大学教授の早坂信哉先生は「お風呂教授」として知られ、健康誌や健康番組に多数出演されています。その早坂先生に向けて、読者からの質問を募集したところ、たくさんの質問が寄せられました。本当に、ありがとうございました! 前編・後編の2回に分けて、早坂先生のご回答をお届けします。

早坂 今日はよろしくお願いします。
編集部 ではさっそく、最初の質問です。
体にいいお風呂の温度が知りたい
正しいお風呂の温度がわかりません。よく、ぬるめのほうが体にいいと聞きますが、寒い時期は、熱めのほうがしっかり温まっていい気がします。熱いお風呂は、本当に体に悪いのでしょうか?(55歳男性)
編集部 確かによく、お風呂はぬるめがいいと聞きます。具体的には、何度ぐらいがいいのでしょうか。
早坂 お風呂の設定温度は、38~41℃の間にしてください。私たちの体は、深部体温という体の深部の温度を0.5~1℃上げると血流がよくなり、体にたまった疲労物質が排出されて、酸素や栄養分を補給しやすくなります。平常時の深部体温は37℃ですから、お風呂の設定温度はそれより少し高めにするといいわけです。
熱めが好きなら、40℃のお湯をためて入り、途中で41℃にするといいでしょう。くれぐれも、42℃以上にはしないでください。42℃以上になると、自律神経の交感神経が優位になって体が緊張するため、凝りや疲れが取れにくくなるからです。さらに血圧が上がり、血液が固まって血栓ができやすくなるのも問題です。
編集部 1℃の違いで、体に与える効果が一変するものなんですね。
早坂 お湯は、空気と違って熱を伝える力が強いためです。そのお湯にすっぽり体をつけるわけですから、気温のようにたかが1℃しか違わないじゃないか、と考えるのは間違いです。逆に、38℃以下のぬるすぎるお風呂もつかっている間に深部体温以下になりやすいのでお勧めしません。交感神経は、熱すぎても、冷たすぎても優位になります。夏に、冷水浴に近いお風呂に入りたい場合でも、25℃以下にはしないようにしましょう。25℃以下になると冷たく感じて、交感神経が優位になって血圧が上がってしまいます。
お風呂の設定温度は、38~41℃にしましょう。熱めが好きでも、42℃以上にはしないように。42℃以上になると、自律神経の交感神経が優位になって体が緊張し、血圧が上がるなど様々な問題が生じます。熱めが好きなら、40℃のお湯をためて入り、途中で41℃にするのがお勧めです。
編集部 お風呂はぬるすぎるのもよくないんですね。続いては、お酒が好きな男性からの相談です。