「血管力を高める運動は?」 読者の悩みに名医が回答!
循環器系のエキスパート・池谷医院 院長 池谷敏郎先生(後編)
伊藤和弘=フリーランスライター
「健康Q&A」では、日経Goodayの連載や特集でおなじみの医師や研究者、アスリート、トレーナーなど、健康・医療のエキスパートの方々が月替わりで登場。あなたの疑問やお悩みに答えます。
今月の回答者は「血管」や「血液」の記事で日経Gooday読者にもおなじみ、テレビ出演も多い池谷医院 院長の池谷敏郎先生です。今回は、血管にいい運動、そして冷えや冬の入浴時の対策などについて答えていただきました。
池谷医院 院長の池谷敏郎先生 Q&A
Q 1 血管の硬さは体のどこかを触って調べることはできますか?(前編)
Q 3 血管年齢を若くするには、どのような生活習慣が大切ですか?(前編)
Q 5
足の冷えに悩んでいます。

有酸素運動と筋トレを両方やるのがベスト
血管力を高めるお勧めの運動の方法を教えてください。 (50代男性)
編集部 睡眠、食事の次に、運動はどうでしょう。やはり血管にいいのは有酸素運動ですか?
池谷 筋肉の運動は血管マッサージになります。筋肉が動くことでNO(一酸化窒素)が出て血管がしなやかに開きますし、血液の循環も良くなります。運動でエネルギーを使うことは生活習慣病の改善にもなります。特に食後の運動はいい。食後30分くらいに運動すると、インスリンを介さずに血液中の糖が筋肉に運ばれます。
有酸素運動は血管を開き、血圧を上げにくいのでいいですが、筋肉が多いほうが血管マッサージにはいいのです。つまり、有酸素運動と筋力トレーニング、両方やるのがベストです。筋トレで筋肉を増やすと、筋力がついて日常生活の中で自然に運動量が増えます。体を動かすのが楽しくなり、本格的な運動をする気も起きてきます。
編集部 筋トレはどんなことをやればいいでしょうか?
池谷 まずは、「スクワット」「ひざをついた腕立て伏せ」「腹筋運動(シットアップ)」の3つを毎日10回ずつやるといいでしょう。ちなみに腹筋運動はひざを立てて、おへそを見るくらい上半身を起こせば十分。僕は「なんちゃって腹筋」と呼んでいます。仰向けの状態から上半身を完全に起こす昔ながらの腹筋運動は、腰痛も起こしやすいので避けたほうがいいでしょう。
また、運動は、ジムに行ったり、外でジョギングしたりしなくても、身近なところで手軽に実践できます。
例えば、トイレに行くのも絶好の運動になります。行くときは「ゾンビ体操」をしながら行くんです。ゾンビ体操は「その場ジョギング」+「上半身のイヤイヤ運動」です。子どもがイヤイヤをするように肩を前後に揺らして両腕をブラブラさせながら、スロージョギングするイメージです。トイレに着いたら15秒かけてゆっくり便座に座り、終わったら15秒かけて立ち上がるのです。そして、再びゾンビ体操をしながら、部屋や自席に帰ってくる。