「排便でいきむのは3分以内に!」「イボ痔は注射で治る?」読者の悩みに名医が回答
JCHO東京山手メディカルセンター大腸肛門病センター長の山名哲郎先生(後編)
伊藤和弘=ライター
「健康Q&A」では、日経Goodayの連載や特集でおなじみの医師や研究者、アスリート、トレーナーなど、健康・医療のエキスパートの方々が月替わりで登場。あなたの疑問やお悩みに答えます。
今月の回答者は肛門回りの疾患や排便障害に詳しいJCHO東京山手メディカルセンター(東京都新宿区)大腸肛門病センター長の山名哲郎先生です。
JCHO東京山手メディカルセンター 大腸肛門病センター長の山名哲郎先生のQ&A
Q 1
Q 2
30分程度で収まりますが、ときどき肛門が痛くなります。(前編)
Q 3
Q 4
昨年の便潜血検査は陽性で、今年は陰性。精密検査の必要は?(中編)
Q 5
排便のキレが悪く、すっきりしないことに悩んでいます。(中編)
Q 6
便の頻度が多い。2時間以上我慢できるようになるには?(中編)
Q 7
排便の感覚が低下。回復させる方法があれば教えてください。(中編)
Q 8
Q 9
毎朝かなりいきんでいるのですが、いきむ排便を続けても大丈夫?
Q10
Q11
Q12
いきむ排便を続けているとどうなる?
最近、便が硬くなり、毎朝の排便でかなりいきまなければなりません。かつて切れ痔になったことがあるのですが、今のところ出血はなく、排便時に痛みがある程度です。このまま無理にいきむ排便を続けていても大丈夫でしょうか? 便が硬くならないような食材や水分摂取は以前から心がけています。 (62歳男性)
編集部 すっきり出し切りたいという気持ちもあり、排便するときはどうしてもいきむことが多くなりますね。
山名 排便は便意があるときに短時間で、いきまず自然に出すのが理想で、無理にいきむ排便は「百害あって一利なし」です。いきむことで悪化しやすいのは、まずイボ痔。いきむ排便を繰り返していると肛門周辺の組織がうっ血して、その一部が膨らんでイボ痔になりやすくなります。
いきむ習慣を続けるとさらにイボ痔が悪化し、イボ痔がいつも肛門から脱出している状態になったり出血を起こしやすくなったりします。直腸が肛門の外に脱出する「直腸脱」になることもあります。

編集部 いきまないと出ないという人はどうしたらいいですか?
山名 いきまないと出ないというのは便秘症状ですから、まず便秘対策をすることですね。食事内容や水分摂取に気を付けることに加え、適度な運動も心がけましょう。また、いきむとしても3分以内に。トイレに10分入っても出ないようなら、諦めて一度トイレから出ましょう。中には30分とか1時間もトイレにこもる人もいますが、長時間トイレにこもっていると、うっ血が進んでイボ痔が悪化します。
いきむ時間は3分以内に!
いきまないと出ないのは便秘症状ですから、便秘対策をもう一歩進めましょう。いきむとしても3分以内にとどめ、10分以上トイレにこもらないようにしましょう。
編集部 よく分かりました。続いて、そのイボ痔に関する質問です。