「排便後にすっきりしない」「肛門が切れて痛い」読者の悩みに名医が回答
JCHO東京山手メディカルセンター大腸肛門病センター長の山名哲郎先生(中編)
伊藤和弘=ライター
「健康Q&A」では、日経Goodayの連載や特集でおなじみの医師や研究者、アスリート、トレーナーなど、健康・医療のエキスパートの方々が月替わりで登場。あなたの疑問やお悩みに答えます。
今月の回答者は肛門回りの疾患や排便障害に詳しいJCHO東京山手メディカルセンター(東京都新宿区)大腸肛門病センター長の山名哲郎先生です。
JCHO東京山手メディカルセンター 大腸肛門病センター長の山名哲郎先生のQ&A
Q 1
Q 2
30分程度で治まりますが、ときどき肛門が痛くなります。(前編)
Q 3
Q 4
Q 5
Q 6
Q 7
Q 8
Q 9
毎朝かなりいきんでいるのですが、いきむ排便を続けても大丈夫?(後編)
Q10
1回の注射でイボ痔が治ると聞いたのですが、本当ですか?(後編)
Q11
イボ痔が再発しました。再び手術を受けるしかないでしょうか?(後編)
Q12
去年は陽性だった便潜血検査が陰性になった
昨年の便潜血検査は陽性でしたが、今年は陰性になりました。何も症状はありませんが、追加で検査を受けなくても大丈夫でしょうか? (40歳女性)

編集部 便潜血検査は大腸がんの基本的な検査で、健康診断で行う便検査のことですね。
山名 はい。便潜血検査で陽性が出た人は精密検査を受けることをお勧めします。陽性でも異常がない場合もありますが、2〜3%に大腸がんが見つかりますし、また3~4割はポリープが見つかりますから。
編集部 良性のポリープも時間が経つとがんになることがあるので、見つけたら切り取ることが大腸がんの予防になると聞きます。精密検査というと、やはり大腸内視鏡検査ですか?
山名 一般には大腸内視鏡検査ですね。内視鏡が苦痛だという人にはCTで調べる検査もあります。去年ひっかかっていて(陽性で)精密検査を受けていないのであれば、今年の便潜血検査が陰性でも受けたほうがいいと思います。陽性でも精密検査をしたら何もないことも多いですが、逆に便潜血検査が陰性でも病気が隠れていることはあります。
便潜血検査が陽性の人では、大腸がんやポリープが見つかることがあります。調べてみて何もない場合もありますが、一度でも陽性だったら精密検査を受けることをお勧めします。
編集部 便潜血検査で陽性なら精密検査を受けるべきということですね。分かりました。
排便後にすっきりしない
排便のキレが悪いというか、何かすっきりしないことが頻繁にあります。加齢のせいと諦めるしかないのかもしれませんが、何か対策があれば教えてください。 (54歳女性)
編集部 排便のキレが悪く、すっきりしない。つまり、排便した後に残便感があるというお悩みです。
山名 残便感というのは便秘症状の1つです。60歳を超えると男女ともに便秘が増えてきます。運動や食事の量が落ちることもあるし、腸のぜん動運動が弱くなるせいもあるでしょう。この方のように54歳くらいになれば、若いころと違ってやや便秘気味になることもあると思います。
編集部 すると、便秘対策が有効ということになりますか?