「糖尿病で足を切断?」「足に痛み。靴どう選ぶ?」 読者の足の悩みに名医が回答!
足専門の総合病院「下北沢病院」の医師たち(後編)
柳本操=ライター
「健康Q&A」では、日経Goodayの連載や特集でおなじみの医師や研究者、アスリート、トレーナーなど、健康・医療のエキスパートの方々が月替わりで登場。あなたの疑問やお悩みに答えます。
2020年9月の回答者は、日本初の足専門の総合病院「下北沢病院」(東京・世田谷区)に所属する足病医たちです。

編集部 日本初の足を専門的に治療する総合病院、下北沢病院の医師たちに、今回も読者のみなさんから寄せられたさまざまな質問にお答えいただきます。下北沢病院の医師のみなさんには、日経Goodayでは連載「いつまでも歩けるための健足術」にも登場していただいています。
前編では、足のしびれや下肢静脈瘤などの悩みに答えてもらいました。さっそく後編の最初の質問にいきましょう。
糖尿病が心配。足にはどんな症状が起こる?
徐々に血糖値が上がっているのが気になっています。糖尿病になると、足を切断することもあると聞きました。なぜそうなるのか、どう予防すればよいかを教えてください。(50代男性)
編集部 血糖値が高く、健康診断で「糖尿病予備群」と言われる人も多いですよね。相談者の方も心配のようです。
富田益臣医師 糖尿病は、発症する前の予防が重要ですから、今から気を配られるのはとても良いことですね。糖尿病とは、血糖値を下げるほぼ唯一のホルモンであるインスリンの作用が不十分となり、血液中のブドウ糖濃度が慢性的に高い状態になる病気のことです。
わが国では、国民の4人に1人が糖尿病か、その予備群という時代になっていて、放置すると糖尿病でない人に比べておよそ10年、寿命が短くなるということも分かっています。また、糖尿病はがんや認知症のリスクとも強く関連します。
編集部 糖尿病は「合併症」が怖いと聞きました。どういうことでしょうか。
富田益臣医師 糖尿病は、初期においては症状がないことがほとんどですが、気がつかないうちに合併症が進んでいくのが怖いところ。糖尿病合併症は、いずれも、生活機能を大きく損なうものです。
血液中のブドウ糖の濃度が高いと血管に傷がつきます。毛細血管などの細い血管が傷ついて起こるのが、神経障害、目の網膜症、腎症。頭の文字から「し・め・じ」といわれます。一方、動脈などの太い血管に傷がついて起こるのが、足の壊疽(えそ)、脳卒中、狭心症や心筋梗塞などの心臓病。頭の文字から「え・の・き」と呼ばれます。