「臭いおならの原因は?」「においが大腸がんのサインのことも?」名医が回答!
広島大学病院感染症科のおなら博士、大毛宏喜先生(後編)
堀田恵美=ライター
「健康Q&A」では、日経Goodayの連載や特集でおなじみの医師や研究者、アスリート、トレーナーなど、健康・医療のエキスパートの方々が月替わりで登場。あなたの疑問やお悩みに答えます。
2021年9月の回答者は「おなら」や「お腹の張り」に詳しい広島大学病院感染症科教授の大毛宏喜先生です。後編では、おならが臭い原因、においや腹部膨満感と病気の関係などについての質問に答えていただきました。
広島大学病院感染症科教授 大毛宏喜先生Q&A
Q 1
Q 2
Q 3
Q 4
Q 5
Q 6
Q 7
Q 8
編集部 後編最初の質問は「おならのにおい」です。臭いにおいの原因は? 食べるものでにおいが変わる? においの対処法は? といった質問をたくさんいただきました。
おならのにおいを改善する方法はある?
毎日家族とほぼ同じものを食べているのですが、なぜか子供のおならより私と妻のおならのほうが臭いです。おならを我慢するのも良くない気がするので、においを改善できればいいのですが、何か方法はありますか?(47歳男性)

編集部 においをなんとかできないかという質問です。同じような質問をいくつかいただいています。
大毛 なるほど。では、おならのにおいはどこから来ると思いますか? 前編で紹介したようにおならのもとになる窒素は無臭です。空気中に7~8割も含まれるのですから、においがあったら大変でしょう。では、何が臭い原因なのでしょう。実は、それを調べた人がいます。
私が米国・ミネソタ大学に留学していたときのボス、マイケル・レビット博士が、病院職員20人のお尻にチューブを入れてガスを採取して調べました。研究者数人で臭さに得点をつけ、機械で分析したおなら成分との相関を調べたのです。すると、硫化水素という成分が多いほど臭いと感じるということが分かりました。
硫化水素は毒物です。卵が腐ったにおいといいますが、天然には火山ガス、温泉などに含まれ、温泉地で硫化水素濃度が高くなり、人が亡くなる事故がまれに起きています。その毒性は青酸ガスと同レベルといわれています。人の体は、自分にとって有害なものを不快に感じるように脳にプログラムされているんですね。
編集部 そんな有毒なものが腸の中にあって、どうして大丈夫でいられるのですか?