「白内障手術を受ける病院はどう選ぶ?」読者の悩みに名医が回答!
白内障手術の世界的名医・赤星隆幸先生(後編)
田村知子=フリーランスエディター
「健康Q&A」では、日経Goodayの連載や特集でおなじみの医師や研究者、アスリート、トレーナーなど、健康・医療のエキスパートの方々が月替わりで登場。あなたの疑問やお悩みに答えます。
今月の回答者は、白内障手術のエキスパートとして世界でも有数の症例数を誇る、眼科医の赤星隆幸先生です。
白内障手術の世界的名医・赤星隆幸先生 Q&A
Q 1
いわゆる“ガチャ目”で白内障。手術で視力が回復する可能性は?(前編)
Q 2
軽度白内障で経過観察中。どんな症状に注意すればいい?(前編)
Q 3
右目の白内障を手術で治したが、左目も早く手術すべき?(前編)
Q 4
生活はできても、仕事で困っている場合は手術をした方がいい?(前編)
Q 5
Q 6
老眼と遠視あり。眼内レンズは近方と遠方どちらに合わせれば?(中編)
Q 7
Q 8
Q 9
Q10
Q11
Q12
編集部 前編では白内障の手術をすべきか否か、あるいはそのタイミングについて、中編では眼内レンズの選び方についてお答えいただきました。最終回となる後編では、白内障以外の病気のある方や、治療や診断に不安のある方からのご相談にお答えいただきます。最初は、前立腺肥大症で治療中の方からのご質問です。
前立腺肥大症の薬を飲んでいると白内障手術が難しくなる?
前立腺肥大症の薬を 3年間服用しています。前立腺肥大症の薬を飲んでいると白内障手術を行うときに弊害があるそうですが、病院や医師を選ぶ際の注意事項を教えてください。(60代前半男性)

編集部 この方は60代前半の男性ですが、年齢的に、白内障と前立腺肥大症を併発している方は多そうですね。前立腺肥大症の治療薬を服用していると、白内障手術の際にどのような影響があるのでしょうか。
赤星 前立腺肥大症の薬で、白内障手術に影響が出るのはα1遮断薬と呼ばれる種類の薬です。α1遮断薬は、前立腺肥大症では排尿障害の改善に用いられますが、女性のいわゆる尿もれの症状や、高血圧の改善に用いられることもあります。
α1遮断薬を長期間服用している方は、瞳孔の大きさを変えて目に入る光の量を調節する虹彩のハリがなくなる、「フロッピーアイリス」と呼ばれる状態になります。
白内障手術は瞳を大きく広げてから行いますが、フロッピーアイリスになっている人は、瞳が広がりにくく、広がったとしても手術中に閉じていってしまったり、創口から虹彩が飛び出てしまったりすることがあります。そのため、手術が難しくなり、合併症を起こすリスクも高くなるのです。
ただ、白内障手術に十分な実績のある医療機関であれば、フロッピーアイリスの可能性があると分かっていれば専用の器具を使って対処することができますし、安全な手術方法を選ぶこともできます。ですから、α1遮断薬に限らず、病気の治療で薬を服用している場合には、事前に眼科医に伝えるようにしてください。