「若いころのようにいかない…男性ホルモンを増やすには?」読者の悩みに名医が回答!
男性更年期障害の専門家・順天堂大学医学部教授の辻村晃先生(前編)
伊藤和弘=フリーランスライター
「健康Q&A」では、日経Goodayの連載や特集でおなじみの医師や研究者など、健康・医療のエキスパートが月替わりで登場。あなたの疑問やお悩みに答えます。
今月の回答者は順天堂大学医学部附属浦安病院泌尿器科教授で、Dクリニック東京メンズ(東京都千代田区)とDクリニック大阪メンズ(大阪市北区)では「男性更年期専門外来」の担当医も務める辻村晃先生です。
順天堂大学医学部附属浦安病院泌尿器科教授・辻村晃先生 Q&A
Q 1
Q 2
Q 3
Q 4
Q 5
Q 6
Q 7
Q 8
Q 9

編集部 最近は男性にも更年期があることが広く知られるようになってきました。順天堂大学医学部附属浦安病院泌尿器科教授の辻村晃先生は「男性更年期障害」のエキスパートとして、これまでに日経Goodayでも度々ご登場いただいています。
そんな辻村先生に向けて、読者からの質問を募集したところ、予想以上に多くの質問が寄せられました。たくさんのご質問、ありがとうございました。それに対する辻村先生の回答を前後編の2回に分けてお届けします!
辻村 よろしくお願いします。何でも聞いてください。
編集部 よろしくお願いします。ではさっそく、最初の質問です。
精神と肉体と男性力、3つの症状が表れる
このところ、やる気と好奇心がなくなって軽いうつ症状も出てきたような気がしています。これは男性更年期の症状ですか?(60代後半男性)
編集部 女性の閉経のようにはっきりとは分かりませんが、男性も歳をとると男性ホルモンが減ってくる。それによって心身にいろいろな不調が起こることを男性更年期障害と呼ぶのでしたね。
辻村 そうです。発症するのは通常50歳以降、60代から70代くらいまででしょうか。これまでの診療の手引きによれば、血液中の遊離テストステロン(主要な男性ホルモン)が8.5pg/mL未満になると、LOH(加齢男性性腺機能低下)症候群とも呼ばれます。
編集部 この質問者はやる気や好奇心など精神面の症状を訴えていますが、具体的にはどのような症状が表れるのでしょうか?
辻村 男性更年期障害では一般に3つの症状が表れると言われています。ひとつはこの方のような精神面の症状。不安、抑うつ、イライラなど、精神面の不安定さですね。それから肉体面の不調。疲労感や不眠、ほてりや寝汗に悩まされる方も多いです。もうひとつは男性力。性欲がわかない、勃起力が低下した、朝立ちがなくなった、などの症状です。
男性更年期障害の主な症状
- 1 体の症状
- 多汗、ほてり、不眠、めまい、メタボリックシンドローム、筋肉低下、関節痛、疲労感、高血圧、心筋梗塞、狭心症
- 2 心の症状
- イライラする、不安、抑うつ、食欲の変化、不眠、集中力がない、やる気がない
- 3 性の症状
- ED(勃起不全)、性欲の減退、朝立ち回数の減少