「高血圧を薬なしで治したい」「降圧薬は一生飲むべき?」読者の悩みに名医が回答!
東京女子医科大学東医療センター内科元教授・渡辺尚彦先生(後編)
伊藤和弘=ライター
「健康Q&A」では、日経Goodayの連載や特集でおなじみの医師や研究者、アスリート、トレーナーなど、健康・医療のエキスパートの方々が月替わりで登場。あなたの疑問やお悩みに答えます。
今月の回答者は「ミスター血圧」の異名を持つ東京女子医科大学東医療センター内科元教授の渡辺尚彦先生です。
「ミスター血圧」こと渡辺尚彦先生Q&A
Q 1
Q 2
Q 3
Q 4
Q 5
Q 6
Q 7
Q 8
Q 9
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Q13

編集部 中編では、高血圧に気付くポイントの有無や、血圧と脈拍数、頭痛などとの関係について、渡辺先生にお聞きしました。後編では、降圧薬に関する疑問や相談にお答えいただきます。ではさっそく、最初の質問です。
薬を飲まずに血圧を下げるには
75歳の母が170ほどの高血圧で病院に通っていたのですが、「薬を飲みたくない」と言って通院をやめてしまいました。母は少食で、食事はベジタリアンに近いです。白米やパンは好きでよく食べているようですが、太ってはいませんし、毎日1時間歩いています。薬を飲まず、高血圧を治す方法はありますか? (52歳女性)
渡辺 方法はたくさんあります。要は努力を継続するかどうかです。
編集部 この方のお母様は肉を食べず、毎日1時間は歩いているそうです。運動に関してはそれなりに努力もされているのではないでしょうか。

渡辺 まず食事についてですが、ベジタリアンになれば血圧が上がらないということはありません。パンの中には塩が入っているし、スープや味噌汁にも入っているでしょう。塩分を摂れば血圧は上がります。また、いくら塩分を控えても大酒を飲んでいては、血圧は下がりません。どんなに生活に注意していても、肥満で睡眠時無呼吸症候群があれば血圧は下がりません。
編集部 減塩、ダイエット、運動など、血圧を下げる方法はいくつかありますが、優先順位はどうなりますか?
渡辺 優先順位は人によって違いますが、「毎日歩いている」とか、ひとつだけいいことをしてもダメなこともあります。血圧を下げるには地道にいろいろな努力をするしかないし、努力したくなければ薬を飲むしかありません。やっぱり一番簡単な方法は薬を飲むことです。
薬を飲まなくても減塩、運動など血圧を下げる方法はいくつかありますが、必ずしも「これひとつでOK」ということはありません。リスクになることをやめ、良いとされることを組み合わせて行うなど、地道に努力することが大切です。
編集部 分かりました。続いても、薬に関する相談です。