「血液サラサラ度はどうすれば分かる?」 読者の悩みに名医が回答!
栗原クリニック東京・日本橋院長 栗原毅先生(後編)
伊藤和弘=フリーランスライター
「健康Q&A」では、日経Goodayの連載や特集でおなじみの医師や研究者、アスリート、トレーナーなど、健康・医療のエキスパートの方々が月替わりで登場。あなたの疑問やお悩みに答えます。
今月の回答者は、読者に人気の「コレステロール/中性脂肪」「血液サラサラ」などの記事でおなじみの、栗原クリニック東京・日本橋院長 栗原毅先生です。今回は、LDLコレステロールや血液サラサラについての質問に答えていただきました。

LDLコレステロールが高めの状態が10年以上前から続いていて気になっています。また、最近、LDLコレステロールの酸化がよくないという話を聞きましたが、どうすれば酸化を防げるのでしょうか。 (50代男性)
編集部 健康診断では、中性脂肪と同じく、LDLコレステロールが高いと指摘される人も多いですね。
栗原 LDLコレステロールが高すぎるのは問題ですが、実はLDLコレステロールが多少高くても、HDLコレステロールが高ければ大丈夫です。むしろ問題はHDLコレステロールの不足のほうなのです。

そもそもコレステロールとは体に必要な成分です。細胞膜や神経細胞を作る材料となるほか、ホルモンや胆汁酸の材料にもなります。
一般にHDLコレステロールが「善玉」、LDLコレステロールが「悪玉」といわれています。しかし実は、LDLはコレステロールを肝臓から全身に運ぶ「運搬役」、HDLは全身から余ったコレステロールを回収する「回収役」として働くもので、いずれも体にとって必要なものなのです。
LDLコレステロールが悪玉といわれるのは、過剰になると行き場を失い、動脈壁に入り込んで、動脈硬化の原因になるためです。しかし、HDLコレステロールが十分にあればLDLコレステロールを回収して肝臓に戻してくれるので基本的に問題ないわけです。
ただし、LDLコレステロールの酸化には注意が必要です。酸化LDLコレステロールは動脈硬化を進めます。
編集部 LDLコレステロールの酸化を抑える方法はありますか?
栗原 酸化を防ぐ成分、つまり抗酸化成分をとることがお勧めです。野菜に含まれるビタミンCやβカロテン、緑茶に含まれるカテキン、チョコレートのカカオポリフェノールなどがいいでしょう。食物繊維にはLDLコレステロールを下げる作用があるので、LDLコレステロールが高い人は野菜などをたくさん食べることです。カカオ70%以上のチョコレートは食物繊維とポリフェノールが豊富。カカオポリフェノールはHDLコレステロールを上げる作用もあるんです。