「中性脂肪を下げるには?」 読者の悩みに名医が回答!
栗原クリニック東京・日本橋院長 栗原毅先生(前編)
伊藤和弘=フリーランスライター
「健康Q&A」では、日経Goodayの連載や特集でおなじみの医師や研究者、アスリート、トレーナーなど、健康・医療のエキスパートの方々が月替わりで登場。あなたの疑問やお悩みに答えます。
今月の回答者は、読者に人気の「コレステロール/中性脂肪」「血液サラサラ」「肝機能や脂肪肝」の記事でおなじみの、栗原クリニック東京・日本橋院長 栗原毅先生です。今回は多くの人が気になる「中性脂肪」についてじっくり伺っていきます。
栗原クリニック東京・日本橋院長 栗原毅先生 Q&A
Q 1
中性脂肪を下げるには?
Q 3 HDLコレステロールが高すぎる気がして心配です。(次回)

編集部 栗原クリニック東京・日本橋(東京都中央区) 院長の栗原毅先生は血中脂質や脂肪肝に詳しく、「血液サラサラ」という言葉の提唱者としても知られています。
日経Goodayでも「血液サラサラ」「中性脂肪の下げ方」「肝機能や脂肪肝」などに関する記事で何度もご登場いただいています。
そんな栗原先生に向けて、日経Goodayでは読者からの質問を募集しました。たくさんのご質問ありがとうございました。それに対する栗原先生の回答を、今回と次回の前後編に分けてお届けします!
栗原 よろしくお願いいたします。
編集部 それではさっそく、最初の質問です。
健康診断で「中性脂肪が高い」と指摘されました。どうすれば下がるでしょうか? お酒は飲んでもいいのでしょうか? (60代男性)
編集部 会社の健康診断などで血液検査を受けて、「血液中の中性脂肪が高い」と診断される人は少なくありません。実際、上記の質問者以外にも数人から中性脂肪についての質問が寄せられています。
ただし、コレステロールが高いことに比べると、中性脂肪が高いほうがマシというか、危険が少ないイメージもありますが…。
栗原 いや、そんなことはありません。むしろ注意が必要なのは中性脂肪のほうです。中性脂肪が150mg/dL以上になると、「高中性脂肪血症(高トリグリセライド血症)」と診断されます。中性脂肪が増えると血液がドロドロになって動脈硬化を進め、心筋梗塞や脳卒中のリスクが高くなります。
- 高LDLコレステロール血症:LDLコレステロール値が140mg/dL以上
- 低HDLコレステロール血症:HDLコレステロール値が40mg/dL未満
- 高トリグリセライド血症:中性脂肪値が150mg/dL以上
さらに、中性脂肪が高いと善玉コレステロールのHDLコレステロールが減り、悪玉のLDLコレステロールが小型化します。小型LDLは通常のLDLよりも酸化されやすく、これが増えると一気に動脈硬化を進めるため「超悪玉コレステロール」とも呼ばれます。つまり、中性脂肪が高いと、コレステロールの質が悪くなり、確実に動脈硬化が進んでしまうのです。中性脂肪が高い状態を放置しておいてはいけません。