「高血圧はなぜ良くない」「下の血圧が高い」読者の悩みに名医が回答!
東京女子医科大学東医療センター内科元教授・渡辺尚彦先生(前編)
伊藤和弘=ライター
「健康Q&A」では、日経Goodayの連載や特集でおなじみの医師や研究者、アスリート、トレーナーなど、健康・医療のエキスパートの方々が月替わりで登場。あなたの疑問やお悩みに答えます。
今月の回答者は「ミスター血圧」の異名を持つ東京女子医科大学東医療センター内科元教授の渡辺尚彦先生です。
「ミスター血圧」こと渡辺尚彦先生Q&A
Q 1
Q 2
Q 3
Q 4
Q 5
Q 6
Q 7
Q 8
Q 9
Q10
Q11
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Q13

編集部 渡辺先生は24時間血圧計を身に着けて常に自身の血圧をチェックしており、「ミスター血圧」と呼ばれています。これまでに日経Goodayでも血圧に関する記事でたびたびご登場いただきました。そんな渡辺先生に向けて、読者の皆様からの質問を募集したところ、とても多くの質問が寄せられました。それに対する渡辺先生の回答を、3回に分けてお届けします!
渡辺 今日はよろしくお願いします。
編集部 よろしくお願いします。ではさっそく、最初の質問です。
血圧が高いと何がいけないの?
48歳の夫が高血圧です。とはいえ上の血圧が140を少し超えている程度ですし、これといった不調もないため、本人に危機感はないようです。このまま様子見でも大丈夫でしょうか? そもそも、血圧が高いとなぜいけないのでしょうか? (52歳女性)
編集部 高血圧の潜在患者数は4000万人以上と生活習慣病の中でも最も多く、実に日本人の3分の1もの人が該当します。ありふれた病気であることに加え、何の自覚症状もないせいか、高血圧を指摘されても放置している人も少なくないようですね。
渡辺 血圧が高いと動脈硬化が進み、放っておくと脳卒中や心筋梗塞、慢性腎臓病を起こすリスクが高くなります。ご存じの通り、日本人の死因で最も多いのはがんですが、2位の心疾患と4位の脳血管疾患、8位の腎不全を合わせると、がんに匹敵するほどの数になる。だから放置するのは良くないということです。
私の父も上の血圧(収縮期血圧)が200(mmHg・以下同)あって、放っておいたら腎不全になって透析をすることになり、47歳で亡くなってしまいました。だから血圧が高い人は下げるための努力をしてもらいたいです。そのためには医療機関を受診して指導を受けるのが一番いい。なかなか自分ではできないので、舵取りをしてくれる人(主治医)が必要だと思います。
高血圧になると動脈硬化が進み、脳卒中や心筋梗塞で命を落とすリスクが高くなります。「血圧が高い」ことが分かったら下げるための努力が必要です。
編集部 脳卒中や心筋梗塞はある日突然起こりますし、助かっても深刻な後遺症が残ることがあります。それを避けるため、高血圧は放置してはいけないということですね。では、次の質問です。
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