「尿酸値が高い状態を放置して大丈夫?」読者の悩みに名医が回答!
痛風・高尿酸血症の専門家、東京慈恵会医科大学名誉教授・細谷龍男先生(前編)
伊藤和弘=フリーランスライター
「健康Q&A」では、日経Goodayの連載や特集でおなじみの医師や研究者など、健康・医療のエキスパートが月替わりで登場。あなたの疑問やお悩みに答えます。
今月の回答者は日本痛風・尿酸核酸学会(旧日本痛風・核酸代謝学会)の前理事長で、痛風や尿酸値に関する記事で日経Goodayに何度もご登場いただいている、東京慈恵会医科大学名誉教授の細谷龍男先生です。
東京慈恵会医科大学名誉教授・細谷龍男先生 Q&A

編集部 東京慈恵会医科大学名誉教授の細谷龍男先生は、2018年まで日本痛風・尿酸核酸学会(旧日本痛風・核酸代謝学会)の理事長も務めた「痛風」のエキスパートで、日経Goodayでも痛風や尿酸値に関する記事に度々ご登場いただいています。
そんな細谷先生に向けて、読者からの質問を募集したところ、多くの質問が寄せられました。たくさんのご質問ありがとうございました。それに対する細谷先生の回答を前後編の2回に分けてお届けします!
細谷 よろしくお願いします。できるだけ、たくさんの質問にお答えしたいと思います。
編集部 よろしくお願いします。ではさっそく、最初の質問です。
尿酸値が高くなるほど痛風発作が起こりやすくなる
毎年、会社の健康診断を受けるたびに尿酸値が少しずつ上がっています。昨年はとうとう8.7mg/dLまで上がりました。今のところ何も症状はないのですが、いつか痛風が起こるのではないかと心配です。何かしたほうがいいでしょうか? (50代男性)
編集部 突然、足の指が腫れ上がり、歩くこともできないほどの激痛に襲われる――。「痛風」は多くの中高年男性が恐れている生活習慣病です。血液中の尿酸値(尿酸の濃度)が高くなるほど痛風になりやすいことは一般にも広く知られています。
細谷 痛風は正確には「痛風関節炎」といいます。血液に含まれる尿酸という物質が結晶化して関節にたまり、炎症を起こすことで激しい痛みを引き起こします。関節の中でも、ひざから下、足首や足の指に起こることがほとんどです。おっしゃる通り、尿酸値が高くなるほど痛風発作が起こりやすくなります。
尿酸値が7.0mg/dL以上を「高尿酸血症」と呼び、こうなると血液中の尿酸が結晶化して関節に付着しやすくなります。統計を見ると8.0mg/dLを超えると痛風関節炎を起こす率が高くなり、9.0mg/dLを超えるとさらに高くなっていきます。
