「コロナワクチン4回目の効果は低い?」「感染したほうが免疫は強くなる?」専門家が回答
医薬基盤・健康・栄養研究所 ワクチン・アジュバント研究センターの國澤純先生(後編)
堀田恵美=ライター
「健康Q&A」では、日経Goodayの連載や特集でおなじみの医師や研究者、アスリート、トレーナーなど、健康・医療のエキスパートの方々が月替わりで登場。あなたの疑問やお悩みに答えます。
2022年5月の回答者は、医薬基盤・健康・栄養研究所ワクチン・アジュバント研究センター センター長の國澤純先生です。
免疫のエキスパート 國澤純先生Q&A
Q 1
Q 2
Q 3
Q 4
Q 5
Q 6
Q 7
Q 8
Q 9
Q10
Q11
Q12
編集部 免疫のエキスパートである医薬基盤・健康・栄養研究所ワクチン・アジュバント研究センターの國澤純先生に、読者からの質問に答えていただく「健康Q&A」の後編です。最初は、ワクチン接種の目的にについての質問です。

ワクチンは何のために打つの?
ワクチンを打つと感染が防げるのですか? 発症や重症化が防げるのですか? 両者の違いがよく分かりません。先日子供がコロナに感染したのですが、同居家族は2回の抗原検査がいずれも陰性で、感染しませんでした。ワクチンの効果でしょうか。(47歳男性)
國澤 前編の「免疫力は高すぎてもよくない?」で、自然免疫と獲得免疫の話をしましたが、獲得免疫の働きを利用したのがワクチンです。ワクチンには弱毒化した特定の病原体、もしくはその一部が入っていて、それを接種することで、免疫がその病原体に関する情報を覚え、その病原体だけに反応する「抗体」を作ります。
抗体は、ウイルスなどの病原体が細胞に入る前にくっついて、細胞に侵入できないようにすることが主な働きなので、ウイルスを消すことはできません。感染(=ウイルスが検出される)は防げませんが、ウイルスが細胞に入って増殖するのを防ぐことでウイルスの広がりを阻止し、重症化を抑える働きをします。その反応が早ければ、のどの痛みや発熱などの自覚症状が出る前に収めてしまうこともあるのだと思います。つまり発症を抑えるということですね。
この方は、新型コロナウイルスの抗原検査が陰性だったとのことですが、一般に抗原検査で陽性になるにはPCR検査よりも多くウイルスが必要で、無症状のときは陽性が出にくいと言われています。もしかしたら感染はしていたけれど、あまり増えなかったため発症しなかったのかもしれません。ワクチンの効果であるとも十分に考えられるでしょう。
ワクチンの効果のひとつは、ウイルスなどの病原体が細胞に侵入するのを防ぐ抗体を作るもの。感染は防げませんが、発症や重症化を防ぐのに役立ちます。無症状で抗原検査が陰性の場合は、感染しなかったか、あるいは感染しても発症しなかったことを意味します。
編集部 ワクチンは発症や重篤化を防ぐものなのですね。ありがとうございます。次の質問では、ワクチンと感染でできる免疫の違いについての質問です。