「風邪を引きやすい人、引きにくい人の違い」「免疫力、高すぎもNG?」専門家が回答
医薬基盤・健康・栄養研究所 ワクチン・アジュバント研究センターの國澤純先生(前編)
堀田恵美=ライター
「健康Q&A」では、日経Goodayの連載や特集でおなじみの医師や研究者、アスリート、トレーナーなど、健康・医療のエキスパートの方々が月替わりで登場。あなたの疑問やお悩みに答えます。
2022年5月の回答者は、医薬基盤・健康・栄養研究所ワクチン・アジュバント研究センター センター長の國澤純先生です。
免疫のエキスパート 國澤純先生Q&A
Q 1
Q 2
Q 3
Q 4
Q 5
Q 6
Q 7
Q 8
Q 9
Q10
Q11
Q12

編集部 免疫のエキスパートである医薬基盤・健康・栄養研究所ワクチン・アジュバント研究センターの國澤純先生に、読者からの質問に答えていただく「健康Q&A」の前編です。よろしくお願いします。
國澤 よろしくお願いいたします。
編集部 最初は、免疫とはどういうものかという質問です。
皮膚にも免疫機能がある?
免疫の本体は何種類もある白血球だと聞きました。そのほか皮膚の防衛力なども免疫になるのでしょうか。(65歳男性)
編集部 「免疫」という言葉を漠然と使っている人も多いと思います。そもそも免疫とはどういうものなのでしょうか。
國澤 免疫の本体は、侵入してきたウイルスや細菌を無力化する「抗体」を作るB細胞と、感染した細胞をやっつけるT細胞という免疫細胞がメインとされ、こういった免疫細胞を総称して「白血球」と呼びます。

ただし、白血球だけで免疫が成り立っているのではありません。例えば、白血球が多く存在し「免疫臓器」と呼ばれる脾臓やリンパ節などには、白血球に情報を伝える細胞も免疫細胞として働いています。その他にも皮膚や腸管にも同じような働きをする細胞がいますので、免疫器官として働いていると言えますね。
編集部 なるほど、「免疫が働くための実行部隊」は主に白血球の働きですが、その他の細胞も大切ですし、皮膚や腸なども免疫器官と言えるということですね。質問者の方がおっしゃっている「皮膚の防衛力」というのはそのことでしょうか。
國澤 質問者の方が意図されているのは、外から異物が入ってこないようにするバリア機能のことかもしれません。皮膚のバリア機能に関わるのは、細胞同士のつながりや保水力などで、免疫によるものではありませんが、バリア機能を突破して入ってきたものに対しては先ほど言ったような免疫細胞が働きます。これらがまとまって働くことが皮膚の防衛力になっていると言えます。
皮膚表面から異物が入らないように上皮細胞の接着を強化する「バリア機能」は、厳密に言うと免疫ではありません。ただし、バリアを突破して侵入した異物に対しては、皮膚の免疫機能が働きます。
編集部 ありがとうございます。次の質問に行きましょう。