「グルコサミンはひざに効く?」「年をとると骨密度は増やせない?」名医が回答!
伊奈病院副院長の石橋英明先生(後編)
伊藤和弘=ライター
「健康Q&A」では、日経Goodayの連載や特集でおなじみの医師や研究者、アスリート、トレーナーなど、健康・医療のエキスパートの方々が月替わりで登場。あなたの疑問やお悩みに答えます。
2021年5月の回答者は、「骨」や「関節」の記事で日経Gooday読者にもおなじみ、伊奈病院副院長の石橋英明先生です。前編に引き続き、後編では気になる「骨密度」や「サプリメント」などについての質問に答えていただきました。
伊奈病院副院長 石橋英明先生Q&A
Q 1
スポーツでひざを痛めました。いい治療法はないでしょうか?(前編)
Q 2
ひざが痛むとき、ウォーキングの注意点を教えてください。(前編)
Q 3
Q 4
Q 5
半年以上も右肩の痛みが取れず、何を試しても効果がありません。(前編)
Q 6
左足を上げると、お尻から脚にかけてしびれるような痛みが…。(前編)
Q 7
Q 8
Q 9
Q10
Q11
お酒の飲みすぎは骨にも悪いと聞きました。許容量はどれくらい?
Q12
編集部 後編最初の質問は、骨密度に関するお悩みです。特に女性は閉経後に骨密度が急速に下がり、骨粗しょう症のリスクが高くなるため、気にしている方は多いようです。
食事や運動に気をつけているのに骨密度が低い
骨密度を調べてもらったら、同年代の平均より20%も低く、骨粗しょう症予備軍だと言われ、ショックを受けています。「病的というほどではないので食事に気をつけて」と言われましたが、今でも食事や運動には気を使っています。何かアドバイスをいただけますでしょうか? (52歳女性)
石橋 骨密度が同世代の平均の80%というのは確かに低いですね。ただ、こうして50代前半で骨密度を測って⾃分の⾻の状態を知ることは、とても良いことです。
編集部 この方は既に食事や運動には気をつけているので、これ以上何をすればいいか分からないとお悩みのようですね。
石橋 そうですね。骨密度は成長期に増加して18~20歳でピークを迎え、20代30代は概ね維持され、その後減ってきます。52歳で骨密度が低い場合、成長期が終わった時点で既に低かった可能性があります。成長期に十分な骨が作られないと、やはり不利というわけです。また、骨密度の7割は遺伝で決まることが分かっていて、遺伝的に骨が弱い体質の人はどうしても弱くなってしまいます。すべての人が、生活習慣だけで骨の強さを改善できるものではないというのが現実です。
編集部 一方で、女性は閉経すると骨密度が急速に下がるという話もよく聞きます。
石橋 はい。「骨代謝」といいますが、骨は生涯にわたって新陳代謝を繰り返しています。つまり、骨の組織は常に古い骨を壊し、新しい骨を作っているというわけです。新しい骨を作ることを「骨形成」、古い骨を溶かすことを「骨吸収」と呼びます(図1)。女性ホルモンには骨吸収を抑制する作用があるので、女性ホルモンが減る閉経時期から15年くらいは骨吸収が強くなります。そのため、骨密度が下がってしまうのです。
