「γ-GTPを下げるには酒を減らすしかない?」 読者の悩みに名医が回答!
自治医科大学附属さいたま医療センター消化器内科元准教授の浅部伸一先生(後編)
伊藤和弘=フリーランスライター
「健康Q&A」では、日経Goodayの連載や特集でおなじみの医師や研究者、アスリート、トレーナーなど、健康・医療のエキスパートの方々が月替わりで登場。あなたの疑問やお悩みに答えます。
今月の回答者は、日経Gooday読者に人気の「肝機能」や「お酒の飲み方」の記事でおなじみの、自治医科大学附属さいたま医療センター消化器内科元准教授の浅部伸一先生です。今回は、肝機能の検査値の見方についての質問に答えていただきました。
自治医科大学附属さいたま医療センター消化器内科元准教授の浅部伸一先生 Q&A
編集部 肝臓専門医の浅部先生に、読者からの質問に答えていただくこのシリーズ。前回は、「脂肪肝」についての読者のお悩みに回答していただきました。
今回は、γ-GTP、ALT、ASTなど、肝機能検査の数値に関する質問に答えていきたいと思います。健康診断の結果で、ミドル以上の多くが気にするのが「γ-GTP」などの肝臓のデータでしょう。特に酒好きには気になる数値です。
健診結果で肝機能の数値に異常がある人は少なくありません。しかし、肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれるだけあって、多少肝機能の数値が悪くなったくらいでは自覚症状が出ないのが怖いところです。「とりあえずは問題ないから」と放置し続けるうちに、肝硬変、そして肝臓がんなどに至るという事態は避けたいところです。先生、引き続きよろしくお願いいたします。
浅部 よろしくお願いします。
編集部 さっそく1つ目の質問です。
酒飲みが気になるγ-GTP、下げるには節酒しかない?
毎日、焼酎を1対1の水割りで700mL程度飲んでいます。酒癖は悪くなく、泥酔するまで飲むことはほとんどありません。健康診断を受けるとγ-GTPがいつも基準値を超えているのですが、数値を下げるには酒量を減らすしかないのでしょうか? (60代男性)
編集部 酒飲みはγ-GTPが高くなることは広く知られていますね。
浅部 はい。γ-GTPは肝臓の解毒作用に関係する酵素で、おっしゃる通りお酒で上がります。多くの健診で調べられるので、これで引っかかる人は多いですね。
お酒をよく飲んでいる人でγ-GTPが高いという人は、酒量を減らすのが対策の基本となります。この方は酒量が少なくありません。毎日、焼酎を1対1の水割りで700mLということは、焼酎だけで350mLという計算になります。
厚生労働省は「健康日本21」の中で適度な酒量として1日にアルコール20g程度を推奨しています。これはビールなら中瓶(500mL)1本、日本酒なら1合(180mL)程度、アルコール度数25度の焼酎なら0.6合(110mL)程度に相当します。
焼酎を350mLということは、ほぼ2合です。つまり、推奨量の3~4倍を飲んでいるわけですから、明らかに飲み過ぎです(笑)。減らしたほうがいいのは間違いありません。