「肛門がかゆくてかいてしまう」「切れ痔は受診したほうがいい?」名医が回答!
マリーゴールドクリニック院長、大腸肛門病専門医の山口トキコ先生(後編)
伊藤和弘=ライター
「健康Q&A」では、日経Goodayの連載や特集でおなじみの医師や研究者、アスリート、トレーナーなど、健康・医療のエキスパートの方々が月替わりで登場。あなたの疑問やお悩みに答えます。
2022年4月の回答者は、「痔」など肛門の病気に詳しいマリーゴールドクリニック(東京都港区)院長の山口トキコ先生です。
痔に詳しいマリーゴールドクリニック院長、山口トキコ先生Q&A
Q 1
Q 2
Q 3
Q 4
Q 5
Q 6
Q 7
Q 8
Q 9
Q10

編集部 マリーゴールドクリニック院長の山口トキコ先生は「日本初の女性肛門科専門医」として知られ、「痔」など肛門の病気のエキスパートとしてメディアでも幅広く活躍されています。そんな山口先生に向けて、前編に引き続き読者からの質問にお答えいただきます。ではさっそく、最初の質問です。
肛門周辺がかゆく、拭きすぎて出血することも
ここ10年ほど、肛門周辺のかゆみに悩まされています。かいてしまったり、トイレットペーパーで強く拭きすぎると軽く出血します。就寝前に市販の座薬を使うと数日は落ち着くのですが、しばらくするとかゆみが再発します。何か対処方法があれば教えてください。(43歳男性)
山口 これは「肛門周囲掻痒(そうよう)症」という症状で、非常に多いです。何らかの原因で肛門の周りがかゆくなり、かゆいからひっかいてしまったり、トイレットペーパーで強く拭いてしまったりすることで、皮膚が傷ついてしまうのです。
編集部 肛門がかゆいというのは不快でしょうね。どのように治療するのでしょうか?
山口 かゆいのは肛門というより、その周囲の皮膚なので、私は皮膚科で使うようなかゆみを抑える塗り薬を出しています。ただ、いったん良くなっても非常に再発が多いのが特徴です。アトピー性皮膚炎などもそうですが、爪でひっかくことで皮脂膜がはがれ、皮膚のバリア機能が低下することで皮膚が敏感になり、何か刺激があるとすぐにかゆくなる。それでまたかいてしまうんですね。