「休肝日は必要?」「お酒に弱くなった…」あなたの疑問に名医が回答!
肝臓専門医の浅部伸一先生(後編)
伊藤和弘=ライター
「健康Q&A」では、日経Goodayの連載や特集でおなじみの医師や研究者、アスリート、トレーナーなど、健康・医療のエキスパートの方々が月替わりで登場。あなたの疑問やお悩みに答えます。
今月の回答者は肝臓専門医で自治医科大学附属さいたま医療センター消化器内科元准教授の浅部伸一先生です。
肝臓専門医の浅部伸一先生Q&A
Q 1
γ-GTPの数値が高いのですが、放置しておくとどうなりますか?(前編)
Q 2
Q 3
昨年からγ-GTPが急に高くなり、お酒を減らしても下がりません。(前編)
Q 4
Q 5
アルコール度数が低いお酒とプリン体ゼロのお酒はどちらが体にいいですか?
Q 6
Q 7

編集部 前編では、主に飲酒とγ-GTPの数値との関係について、浅部先生にお聞きしました。後編は、お酒を飲まない人の悩みや健康への悪影響が少ない飲み方についての相談にお答えいただきます。ではさっそく、最初の質問です。
非アルコール性の脂肪肝はどうすれば改善する?
夫(30代)はほとんどお酒を飲まないのにエコー検査で脂肪肝だと言われました。普段の生活で、どんなことに気をつければいいでしょうか? (30代女性)
浅部 はい。最近はむしろお酒が原因ではない非アルコール性の脂肪肝が増えています。人間ドックで脂肪肝と診断された日本人の約22%がお酒を飲まないのに脂肪肝だったという報告もあります(J Clin Biochem Nutr. 2009;45:56-67.)。脂肪肝になってお酒を飲まないのにγ-GTPやALTの数値が高くなっている人もいます。
編集部 お酒が原因の場合はお酒を減らせばいい。一方、お酒が原因ではない脂肪肝の場合、どうすれば改善するでしょうか?
浅部 非アルコール性脂肪肝の原因は9割以上が生活習慣です。一般に太っている人が多く、カロリーのとり過ぎで肝臓の中に脂肪がたまっているわけです。非アルコール性脂肪肝で太っているのであれば、一番の対策はやせること。ほかの生活習慣病と同じく、「食事」と「運動」が基本です。摂取カロリーを減らして運動習慣を持つようにすれば、肝臓にたまった脂肪も確実に減っていきます。もっとも「言うはやすし」で、実行するとなるとお酒を減らすより難しいかもしれません。

編集部 肥満防止のため、ハイボールや焼酎など糖質の入っていない蒸留酒を飲むという人も多いですね。
浅部 体重が気になる人が糖質の少ないお酒(蒸留酒)を選ぶのは悪いことではないと思います。ビールやワインのような醸造酒はどうしても糖質が多くなりますから、蒸留酒に比べると太りやすい。蒸留酒の問題はアルコール度数が高いことですが、ハイボールなどは自分で濃度を変えられるので決して悪いお酒ではありません。いいウイスキーを選べば、薄いハイボールにしても香りがあっておいしい。私自身、そうやって楽しんでいます。
非アルコール性脂肪肝の原因は9割以上が生活習慣。食事の量を減らし、運動することで肝臓についた脂肪を落とすことができます。