「γ-GTPの数値、放置するとどうなる?」あなたの疑問に名医が回答!
肝臓専門医の浅部伸一先生(前編)
伊藤和弘=ライター
「健康Q&A」では、日経Goodayの連載や特集でおなじみの医師や研究者、アスリート、トレーナーなど、健康・医療のエキスパートの方々が月替わりで登場。あなたの疑問やお悩みに答えます。
今月の回答者は肝臓専門医で自治医科大学附属さいたま医療センター消化器内科元准教授の浅部伸一先生です。
肝臓専門医の浅部伸一先生Q&A
Q 1
γ-GTPの数値が高いのですが、放置しておくとどうなりますか?
Q 2
Q 3
昨年からγ-GTPが急に高くなり、お酒を減らしても下がりません。
Q 4
Q 5
アルコール度数が低いお酒とプリン体ゼロのお酒はどちらが体にいいですか?(後編)
Q 6
Q 7

編集部 浅部先生は、これまでに日経Goodayでも肝機能やお酒の飲み方に関する記事で度々ご登場いただきました。書籍『酒好き医師が教える 最高の飲み方』の監修も務めた“酒好き医師”としても知られています。
そんな浅部先生に向けて、日経Goodayでは読者からの質問を募集しました。それに対する浅部先生の回答を、今回と次回の前後編に分けてお届けします!
浅部 今日はよろしくお願いします。
編集部 ではさっそく、最初の質問です。
高いγ-GTPを放っておくとどうなる?
体はいたって健康なのですが、健康診断を受けるとγ-GTPだけ高いです。放置しておくと、どうなりますか? (40代女性)
編集部 今回の質問で最も多かったのはγ-GTPに関するものでした。γ-GTPはAST(GOT)やALT(GPT)と同じく肝機能の指標であり、お酒をたくさん飲む人は高くなることが知られています。血圧やコレステロールと並んで健康診断で引っかかりやすい項目です。気にはなるけれど、特に具合は悪くないからと放置している人も多いですね。
浅部 多くの健康診断で調べられるγ-GTPは、肝臓や胆管の中に含まれている酵素です。肝臓の解毒作用に関係していて、お酒をはじめ、いくつかの原因で上がっていきます。基準値の幅は広く、検査機関によって50以下~85以下(U/L)などとなっています。異常値といっても60や70程度であれば、検査機関によっては基準値の範囲内になるレベルなので、それほど心配する必要はないでしょう。お酒をよく飲んでいると、200や300になる人もいます。3ケタになれば明らかに異常値ですが、それでもすべての人が深刻な病気になるわけではありません。
編集部 ということは、逆にいえば「深刻な病気になる人もいる」ということですね。
浅部 もちろんです。γ-GTPが高いまま放置しておくとアルコール性肝障害や脂肪肝になる人もいるし、肝硬変や肝がんになる危険も高くなります。ただ、γ-GTP値が上がっても肝臓自体は意外とダメージを受けていないこともあり、厳密に「この値だとどうなる」とか、「高ければ必ず病気になる」とは言い切れないわけですね。