「就寝中に痛みが出る」「ペインクリニックの利用法は?」名医が回答!
痛みに詳しい横浜市立大学附属市民総合医療センターペインクリニック内科部長の北原雅樹先生(中編)
堀田恵美=ライター
「健康Q&A」では、医師や研究者、アスリート、トレーナーなど、健康・医療のエキスパートの方々が月替わりで登場。あなたの疑問やお悩みに答えます。
2022年3月の回答者は「難治性の慢性痛」に詳しい、横浜市立大学附属市民総合医療センターペインクリニック内科部長の北原雅樹先生です。前編では「痛いところは温めるべき?」「頭痛や肩こりの対策は?」といった質問に答えていただきました。引き続き中編では、就寝中の痛みやペインクリニックについての質問に答えていただきましょう。
痛み治療のエキスパート 横浜市立大学附属市民総合医療センターペインクリニック内科部長の北原雅樹先生Q&A
Q 1
Q 2
Q 3
Q 4
Q 5
Q 6
Q 7
Q 8
Q 9
Q10
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Q13

就寝中の痛みは危険信号かも!
母についての相談です。夜寝ているときに腰に強い痛みが出るそうです。処方された痛み止めの薬を飲むと、痛みは和らぐようですが、ひどい便秘になるとのことで薬を飲みたがりません。便秘になりにくい薬はあるのでしょうか。(53歳 男性)
編集部 鎮痛薬についてのご相談ですね。
北原 はい。ただ、質問者さんのお母さんは、薬うんぬん以前に痛みの出方がちょっと心配です。日中気が紛れていたら痛くないのに、夜、リラックスしたり就寝中に痛い、しかも薬を飲むと痛みが治まるというのは、何かしら内臓の腫瘍や骨折などがある可能性があります。
腰や背中に痛みがあると、つい筋肉や脊椎など整形外科的な症状だと考えてしまいがちですが、通常の腰痛や背中痛の場合、就寝中は楽になります。整形外科では、内臓などの検査はしないと思いますので、セカンドオピニオンをとるつもりで、できれば一度、総合診療ができる医療機関で診察してもらったほうがいいと思います。総合診療とは、特定の臓器・疾患に限定せず多角的に診断することです。総合診療科を備える医療機関はまだ日本国内には少ないので、各科の連携が良い、小~中規模の総合病院で相談してみるといいかもしれません。
編集部 内臓の異常が背中や腰の痛みとして出ることがあるのですか?
北原 はい。膵臓がんや胃がん、血管が破れる大動脈解離なども、腰や胸の後ろあたりに痛みが出ます。もしかしたら何もない、ただの腰痛かもしれませんが、それならそれで安心して、これまでのかかりつけ医に、便秘になりにくい痛み止めを処方してもらうといいでしょう。
鎮痛薬の中には便秘しにくいものもありますが、眠っているときにも痛みがある場合は、膵臓がんや胃がんなど他の病気が隠れている可能性もあります。まずは総合診療科などを受診してみてはいかがでしょうか。
痛み止めを長く飲み続けても大丈夫?
頭痛などを抑えるのに飲んでいる薬は、飲み続けてもいいものでしょうか。薬を飲み続けること自体が命を縮めそうで不安です。(51歳 男性)
編集部 この方のように、痛み止めなどの薬を飲み続けるのに不安がある人は結構いらっしゃるかもしれないですね。
北原 そうですね。どのような薬なのかによっても異なりますが、例えば、片頭痛の治療などに用いられる「頭痛の予防薬」は飲み続ける必要があります。片頭痛は3:1くらいの割合で女性のほうが多く、なかでも30~40代女性に多いのですが、質問者さんは50代の男性ですね。ということは、頭痛が起きてから飲む鎮痛薬についてお尋ねになっているのかもしれませんね。