「研磨剤入りの歯磨き粉は歯が削られる?」あなたの疑問に名医が回答!
鶴見大学歯学部探索歯学講座教授・花田信弘先生(後編)
伊藤和弘=ライター
「健康Q&A」では、日経Goodayの連載や特集でおなじみの医師や研究者など、健康・医療のエキスパートが月替わりで登場。あなたの疑問やお悩みに答えます。
今月の回答者は、歯周病に詳しい鶴見大学歯学部探索歯学講座教授の花田信弘先生です。
鶴見大学歯学部探索歯学講座教授・花田信弘先生Q&A
Q 1
口臭は奥歯のクラウンを入れ直すことで改善できますか?(前編)
Q 2
Q 3
Q 4
歯茎がやせると認知症のリスクが上がるって本当ですか?(前編)
Q 5
Q 6
Q 7
歯周病を防ぐためには歯間ブラシやデンタルフロスも必要ですか?
Q 8

編集部 前編は、口臭についてのお悩みや歯石処理のタイミングなどについて、花田先生にお聞きしました。後編は、身近な歯磨き粉などについての相談にお答えいただきます。ではさっそく、最初の質問です。
研磨剤が入った歯磨き粉を使うと歯が削れるってホント?
研磨剤が入った歯磨き粉は歯の表面のエナメル質が削れて良くないと聞いたのですが、本当ですか。 (46歳女性)
編集部 確かに、そんな話を聞いたことがあります。
花田 確かに昔の歯磨き粉は、入っている研磨剤が硬すぎて、エナメル質を痛める恐れがありました。金属系の研磨剤が入っていたんです。しかし今では、金属系の研磨剤は、タバコのヤニ取り用に残っている程度です。
編集部 すると、今は研磨剤が入っている歯磨き粉を使っても問題ないのでしょうか?
花田 はい。通常の歯磨き粉は歯のエナメル質よりも軟らかい研磨剤を使っているので、歯がすり減る心配はありません。かつては上の歯は上から下へ、下の歯は下から上へ、という「ローリング法」という磨き方を指導していた時代があったでしょう?
編集部 ありましたね、ローリング法!
花田 なぜそうしていたかというと、研磨剤が硬かった時代は、横に磨くと歯が削れてしまうからなのです。今はその心配がないので、ローリング法ではなく、歯と歯の間に毛先を入れてブラシを横に動かす磨き方になっています。歯磨き粉の安全性が向上した結果です。
今の研磨剤で歯がすり減ることはありません。安心して磨いてください。
編集部 続いて、同じく歯磨き粉に関する質問です。