「地頭を良くする方法はある?」「もの忘れが気になる」 脳医学者が回答!
東北大学加齢医学研究所教授・脳医学者の瀧靖之先生(中編)
田村知子=ライター
「健康Q&A」では、日経Goodayの連載や特集でおなじみの医師や研究者、アスリート、トレーナーなど、健康・医療のエキスパートの方々が月替わりで登場。あなたの疑問やお悩みに答えます。
2021年2月の回答者は、東北大学加齢医学研究所教授で、脳医学者としてこれまで約16万人もの脳のMRI画像を読影・解析してきた瀧靖之先生です。
東北大学加齢医学研究所教授・脳医学者の瀧靖之先生 Q&A
Q 1
新聞や本を読むことに集中できず、内容が頭に入ってきません(前編)
Q 2
Q 3
キャッシュレス生活で暗算のスピードが遅くなった気がします(前編)
Q 4
小学生の息子がゲームやテレビアニメ三昧。脳への影響は?(前編)
Q 5
脳を疲れさせないスマホの使い方のコツを教えてください(前編)
Q 6
Q 7
Q 8
Q 9
Q 10
Q 11
脳の機能低下を抑えるためにとるといい栄養や食事法は?(後編)
Q 12
Q 13

編集部 2021年2月の健康Q&Aは、東北大学加齢医学研究所教授で、脳医学者の瀧靖之先生に、読者の脳にまつわる質問・相談について伺っています。中編では、もの忘れに関する質問や相談を中心にお届けしますが、最初はちょっとユニークな質問です。
「地頭」を良くしたいけれど、難しい?
誰にでもある願望だと思いますが、地頭を良くする方法はないのでしょうか。よく言われる「(バカは)死ななきゃ、治らない」なのでしょうか。質問になっていなかったら、すみません。(64歳男性)
瀧 ご相談者は「質問になっていなかったら、すみません」と書かれていますが、私にとっては全くそんなことはない大切な質問です。なぜかというと、このことこそ、私が多くの方に伝えたいメッセージだからです。前編でもお話しした通り、脳には何歳になっても変化する力、すなわち「可塑(かそ)性」が備わっているので、60代でも、70代でも、80代になっても、能力を伸ばしたり、新たな能力を獲得したりすることが期待できます。
編集部 いわゆる「地頭の良さ」というのは、生まれつきの要素が大きいわけではないのでしょうか。
瀧 「生まれつきの才能」と呼ばれるようなものはもちろんあります。しかし、いわゆる頭の良さ、賢さを表す「知能」を決める要因の約50%は後天的なものだということが分かっています(*1)。つまり、知能は後天的に伸ばすことができると考えられるのです。そうして情報の効率化を図ることにより、結果的に情報処理能力や記憶力などを上げられる可能性もあります。ですから、「死ななきゃ、治らない」なんて思う必要は全くありませんし、科学的にもそれは正しくないことが分かっています。