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久野教授の「カラダの強化書」

健康長寿のために鍛えておくべき筋肉、第1位は?

第5回 筋トレ・有酸素運動の極意は「チリツモ」

 久野譜也=筑波大学大学院スポーツ医学専攻教授

「健康長寿」のために優先して鍛えるべき筋肉とその理由

1 下肢(下半身)の筋肉

⇒上肢(上半身)の筋肉よりも加齢によって衰えやすいため

2 下肢の中でも、股関節周り(大腰筋とその周辺)の筋肉

⇒転倒を予防するため

3 背中や太ももなどの大きな筋肉

⇒基礎代謝を維持・向上させるため


 上肢(上半身)の筋肉よりも下肢の筋肉を優先するのは、下肢の筋肉のほうが衰えやすいからです。下肢の筋肉の衰えは、転倒・骨折の原因になります。下肢の中でも股関節周り、つまり、大腰筋とその周辺の筋肉を鍛えることが大切なのは、この連載の第1回「賢い人は自分の筋肉に投資する」でお話ししたように、大腰筋は姿勢の維持や太ももを引き上げるときに使われる筋肉で、寝たきり予防に重要な役割を果たすからです。

 大腰筋は体の深部にあり、背骨と左右の大腿骨をつないでいます。いわば、私たちの体の大黒柱といえる筋肉です。大腰筋だけをピンポイントで鍛えるのは難しいのですが、逆にいえば、大腰筋を意識した筋トレを行えば、腹部やお尻、大腿部などの筋肉をトータルに鍛えることができるのです。

転倒・骨折予防のために特に鍛えるべき筋肉は「大腰筋」
大腰筋は、深いところにある筋肉(インナーマッスル)で、姿勢の維持や太ももを引き上げるときに使われる。(C)Sebastian Kaulitzki – 123rf
[画像のクリックで拡大表示]

 背中や太ももなどの大きな筋肉を鍛えるのは、基礎代謝を維持・向上させるためです。前回詳しくお話ししましたが、筋トレで速筋を鍛えると、エネルギーを生み出す工場の数が増えて、生み出されるエネルギーの量が増えることで、基礎代謝が上がります。だとすれば、大きな筋肉を鍛えたほうが効率的だというわけです。

 この3つのポイントを押さえつつ、慣れてきたら、時間に余裕があるときに、下肢の血液を心臓に戻すポンプの役割を果たすふくらはぎの筋肉や、上肢の筋肉も鍛えていくといいでしょう。

 次回はいよいよ、3つのポイントを押さえた具体的な筋トレメニューをご紹介します。

(まとめ:田村知子=フリーランスエディター)

久野譜也(くの しんや)さん
筑波大学大学院人間総合科学研究科 スポーツ医学専攻教授、医学博士
久野譜也(くの しんや)さん 1962年生まれ。筑波大学体育専門学群卒業。同博士課程医学研究科修了。ペンシルべニア大学医学部客員研究員、東京大学大学院助手を経て、96年筑波大学先端学際領域研究センター講師、2011年から現職。
 スポーツ医学の分野において、中高年の筋力トレーニング、サルコペニア肥満、健康政策などを研究。2002年に、健康増進分野では日本初の大学発ベンチャー「株式会社つくばウエルネスリサーチ」を設立。「科学的根拠に基づく健康づくり」という基本概念のもとに、超高齢社会に伴う生活習慣病、寝たきり者や医療費の抑制といった健康課題に対して、情報発信のあり方やまちづくり、コミュニティの再生などのアプローチも含めた解決策を提案している。
 著書に『寝たきり老人になりたくないなら大腰筋を鍛えなさい』(飛鳥新社)、『筋トレをする人が10年後、20年後になっても老けない46の理由』(毎日新聞出版)など。

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