この連載の第6回「ジムに行かなくてもできる! 健康長寿を目指す筋トレ厳選4メニュー」では、オフィスや自宅にいながら5分程度で実践できる、下肢の筋肉を強化する筋トレメニューをご紹介しました。
ただ実際には、腰や膝に痛みがあって、筋トレや運動を行うことに不安がある人も多いと思います。先日、「健康Q&A」で読者の質問を募集した際にも、そうした悩みが寄せられました。私たちが実際に筋トレを指導する場でも、腰痛や膝痛を予防するための筋トレプログラムを紹介してほしいと求められることもあります。
そこで今回は、腰痛や膝痛がある人でも取り組める筋トレメニューをご紹介します。腰や膝の痛みを心配しすぎて筋トレをしないでいると、筋肉量や筋力が低下して、痛みの原因になるという悪循環に陥りがちです。ぜひ、無理のない範囲で、関節に負担のかからない以下の筋トレを実践してみてください。
「痛みのあるときは無理をしない」が大前提
初めに、腰痛・膝痛予防のための筋トレメニューに共通するポイントを押さえておきましょう。
筋トレを安全かつ効果的に行うための3つのポイント
1. 痛みのない範囲で行う
痛みがあるときは受診してその原因を調べ、疾患があれば治すこと。その上で、「ここまでなら痛まない」という範囲で筋トレを行う
2. 呼吸を止めない
呼吸を止めると血圧が上がるので要注意。「1、2、3」と声に出してカウントしながら行うと自然に呼吸ができる
3. 強化する筋肉を意識し、ゆっくり動かす
強化する筋肉を意識して、一つひとつの動作をゆっくり丁寧に行うことで、目的の筋肉にしっかりと負荷を与えられる
3つのポイントの中でも特に注意していただきたいのは、痛みのない範囲で行うことです。痛みがあるときに無理をして筋トレを行うと、痛みが悪化してしまう恐れがあります。今現在、痛みが出ている場合は、医療機関を受診してその原因を調べ、疾患があれば治療することを優先するようにしてください。
関節の動きを伴わない筋トレなら腰や膝に負担をかけない
では早速、腰痛・膝痛予防のための筋トレメニューをご紹介していきます。
私は普段、健康長寿を目指すときに重要な下肢の筋肉の強化には、大腰筋を鍛えるスクワットなどをお勧めしています。ただ、一般的なスクワットは、股関節や膝の動きを伴うので、腰や膝に不調のある人は痛みが出ることもあります。
今回ご紹介する筋トレメニューのほとんどは等尺性収縮運動(アイソメトリックトレーニング)と言って、筋肉の長さが変わらない状態で力を発揮する運動、つまり関節の動きを伴わない運動です。腰や膝に不調のある人だけでなく、何年も運動していない人や、肥満気味の人も、まずは関節に負担のかからない今回のメニューで徐々に下半身を鍛えていくことをお勧めします。そして慣れてきたら、「ここまでなら膝を曲げても痛まない」という範囲内で、スクワットなどの関節の動きを伴う筋トレを行っていくようにします。