今回は「認知症予防」をテーマにお話ししたいと思います。「筋トレの連載で、なぜ認知症予防?」と思われる方もいるかもしれません。でも実は、これまでお話ししてきた筋力トレーニングや有酸素運動は、認知症予防にも有効だということが、近年の研究で分かってきているのです。
運動習慣がどのように認知症予防に寄与するのかを解説する前に、まず認知症について簡単に説明しておきましょう。

65歳以上の4人に1人が認知症または予備軍
認知症とは、何らかの原因で脳がダメージを受けて、記憶力や思考力、判断力や理解力といった脳の認知機能が少しずつ低下していき、日常生活や活動が困難になるまで支障を来した状態のことを指します。
厚生労働省が2015年1月に発表した「認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)」によると、日本の65歳以上の認知症患者数は、2012年時点で約462万人、65歳以上の約7人に1人と推計されています。正常と認知症の中間の状態とされるMCI(Mild Cognitive Impairment:軽度認知障害)の約400万人も合わせると、65歳以上の約4人に1人が認知症またはその予備軍となっています(図1)。
認知症患者は今後も増え続け、2025年には約700万人に達すると見込まれています。