今回は「筋肉と骨の関係」についてお話しします。特に女性の将来の寝たきり予防にとって重要なメッセージなのですが、ぜひ男性にも知ってもらい、ご自身の家族や友人に伝えてほしいと思います。
この連載の第3回「メタボより怖い! 痩せにくく、筋肉が落ちてきた人は『サルコペニア肥満』予備軍」でも少し触れましたが、60代以降で転倒するリスクに男女差は見られないものの、転倒して骨折するリスクは女性のほうが3~4倍高いことが分かっています。
なぜ女性のほうが骨折するリスクが高いのでしょうか? それは、女性はもともと体を支える筋肉や骨の量が男性よりも少ない上に、女性ホルモンの分泌が減少する閉経後は、骨量の目安である「骨密度」が急激に低下して、骨がもろくなってしまうからです。骨密度が一定基準を下回ると、骨粗鬆症と診断されます。
その状態で転倒すれば、骨折しやすいのは当然のことです。転倒・骨折をきっかけに、寝たきり状態になるリスクも高まります。女性は平均寿命が長いので、寝たきりになってからの時間も長くなる傾向があり、骨折予防は切実な問題です。
骨の問題でやっかいなのは、骨密度は一度ピークを超えてしまうと増やすことができないという点です。骨の強度の指標となる骨密度は、20~30代でピークを迎え、その後は低下し続けます。筋肉は、何歳になってもトレーニングによって増やすことができますが、一度減ってしまった骨密度は、残念ながら増やすことはできません。ですから、第一に重要なのは、若いうちにしっかりと骨密度を高めて、ピークを高くしておくこと。次に重要なのは、骨密度の減少のスピードを緩やかにすることです。そこで重要になってくるのが筋力トレーニングなのです。
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