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データで見る栄養学

「理想的なBMIは22」は本当なのか?

第4回 年代や状態によって異なる目指すべきBMI

 村山真由美=フリーエディタ―・ライター

佐々木:男女ともにU字カーブを描いていますが、よく見ると女性は底が広いU字で、BMIが「19~24.9」では死亡率にはほとんど違いがなく低いことが分かります。一方、男性は「23~24.9」より増えても減っても死亡率が上がっています。これは、「肥満度と死亡率の関係は女性よりも男性のほうが強い」ということを示しています。

編集部:体重を気にして一喜一憂しがちなのは女性ですが、気にしたほうがいいのはむしろ男性なんですね。

佐々木:そのとおりです。日本人のBMIはここ30年、男性はほとんどの年代で増加し続けていて、女性はほとんどの年代で減少し続けています。

編集部:平成27年国民健康・栄養調査によると、男性は30~50代の3割以上が肥満(BMI25以上)で、女性は男性ほど肥満者は多くありません。反対に、20代女性の2割はやせ(BMI18.5未満)で、低出生体重児が生まれる原因になることが問題視されていますね。

佐々木:やせ過ぎの人は高齢になると死亡率が高くなります。ですから、若い女性たちが将来高齢になったときが心配です。

高齢者の場合、肥満よりやせが危険

編集部:図2の研究対象は40~59歳でしたが、高齢者のやせ過ぎはよくないのですか?

佐々木:BMIと死亡率の関連を調べた研究は国内外にいろいろあり、最も死亡率が低いBMIは年齢によって異なることが分かってきました。以下は、40~79歳の日本人男性約3万人、女性約6万人の生死を10年間にわたって調べた研究結果です(図3)(*4)。

【図3】 肥満度(BMI)とその後10年間における死亡率との関係
最も死亡率が低いBMIは、男女ともに60歳を境に高くなる。
[画像のクリックで拡大表示]

編集部:死亡率が最も低いBMIは、女性は40~50代では約22。男性は40代で約24、50代で約23なんですね。60歳を境に男女ともに数字が上がっています。

佐々木:図4は我が国の65~79歳の高齢者2万6747人を11年間追跡した研究(*5)です。これによると、BMIが20~22.9だった群に対して、それよりも太っていた群の死亡率はごくわずかですが下がっていました。一方、それよりもやせていた人たちでは、明らかに死亡率が上がっていました。つまり、「高齢者では、肥満よりもやせのほうが危ない」ということです。

【図4】 65~79歳の日本人高齢者を約11年間追跡した結果

(BMIが20~22.9だった群と比較した死亡率)

[画像のクリックで拡大表示]

編集部:高齢になったら太ればいいのでしょうか?

佐々木:そう単純ではありません。高齢になってから体重を増やすと、脂肪だけが増えて筋肉が増えないという不健康な太り方になりがちです。肥満はそれだけで高血圧、高血糖、脂質異常といった生活習慣病のリスクになりますから、太っている高齢者は生活習慣病を持ちながら生きることになります。そんな状態で長生きしたくないですよね。

*4 Matsuo T,et al. Age- and gender-specific BMI in terms of the lowest mortality in Japanese general population.Obesity. 2008;16(10):2348-55.
*5 Tamakoshi A,et al.BMI and all-cause mortality among Japanese older adults :findings from the Japan collaborative cohort study.Obesity. 2010;18(2);362-9.

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