「早食い」は太る! 忙しい人でも無理なく実践できる「太りにくい食べ方」とは?
第3回 食べる速度と肥満度の深~い関係
村山真由美=フリーエディタ―・ライター
パワーランチは損している?
編集部:肥満や糖尿病を防ぐには、とにかく、よくかんでゆっくり食べることが重要なのですね。野菜先食べや三角食べはそのための一つの手段になると。
佐々木:はい。野菜先食べも三角食べもどちらも血糖コントロールに役立ちます。あえて分類するなら、食事に時間をかけたくない(または、かけられない)人には野菜先食べを、食事に味わいと楽しさを求める人には三角食べと口内調味を勧めたいと思います。
編集部:食事くらいゆっくり食べたいものですね。
佐々木:食事はおいしく、楽しく、正しく(科学的に)食べたいものです。そういう意味では、今流行のパワーブレックファストとかパワーランチって、僕は嫌いです。
編集部:会議を兼ねた食事ですね。食事と仕事が同時に済むので効率がいいように感じますが……。
佐々木:得しているようで、実は損しているんですよ。ゆっくり食べられないし、食べ物に集中できませんよね。「太めの人は自分が食べているものをかなり少なく考えている」という研究結果があります(*8)。食べたものを忘れてしまうんです。食べ過ぎないためには、目の前の食べ物一つ一つを丁寧に楽しむことが大切です。ひょっとしたら、会議にも集中できていないかもしれません。さあ、あなたはどんな食べ方を選びますか?
(図1以外のグラフデータ提供 佐々木敏)
東京大学大学院医学系研究科 社会予防疫学分野教授・医学博士
