中性脂肪値を上げるのは油ではなく炭水化物
第6回 肥満かどうかで実は違う!中性脂肪値の下げ方
村山真由美=フリーエディタ―・ライター
ちまたにあふれる健康栄養情報のなかで、最近多いのが「油」の情報だ。特に、コレステロールや中性脂肪などの値が気になっている人は、油との付き合い方は気になるところだろう。前回「コレステロール値が気になる人は揚げ物や肉を控えるべき?」ではコレステロールをテーマにしたが、今回は、中性脂肪について、東京大学大学院医学系研究科社会予防疫学分野教授の佐々木敏さんに栄養疫学の視点から解説してもらう。
中性脂肪値を上げるのは炭水化物

編集部:前回記事では食事とコレステロール値の関係について解説していただきました。「肉や乳製品の油はコレステロール値を上げるが、植物油はコレステロール値を上げないので揚げ物を避けなくてもいい」というお話でした。
佐々木:油には色々な種類があり、働きが違うということですね。
編集部:今回は、食事と中性脂肪値の関係について教えてください。中性脂肪値には、やはり油が影響しているのでしょうか?
佐々木:中性「脂肪」という名前なので、油のとり過ぎが原因だと思う方が多いようです。しかし、中性脂肪値を上げるのは油ではなく炭水化物です。以下は、食事の総エネルギーの5%を炭水化物から3種類の脂質に変えたときの中性脂肪値の変化をまとめたものです(27の介入試験のまとめ。総対象者数は682人、試験期間は14日間)[注1]。
編集部:飽和脂肪酸、一価不飽和脂肪酸、多価不飽和脂肪酸、どの脂質に食べ替えても中性脂肪値が下がっていますね[注2]。
佐々木:中性脂肪値を下げたい場合、低炭水化物ダイエットは効果があるということです。この研究は20年前にまとめられたものですが、意外に知られていないようです。
編集部:そうですね。油を控えるよりも炭水化物を控えるほうがいいとは意外です。
[注2]飽和脂肪酸は肉や乳製品に、一価不飽和脂肪酸はオリーブ油などに、多価不飽和脂肪酸は大豆油、調合油(サラダ油)などに多く含まれている。前回記事「コレステロール値が気になる人は揚げ物や肉を控えるべき?」参照。
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