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データで見る栄養学

コレステロール値が気になる人は揚げ物や肉を控えるべき?

脂質との上手な付き合い方

 村山真由美=フリーエディタ―・ライター

佐々木:この2つを「コレステロール」と同じ名前で呼ぶことが誤解を生んでいます。リポたんぱく質と結合して全身の細胞に配られるコレステロールは、先ほど述べた通り、主に肝臓で作られたものです。でも、その一部は食品から摂取されたコレステロールに由来します。つまり、血中コレステロール(リポたんぱくコレステロール)の一部分がコレステロールであり、そのコレステロールの一部が食べ物に由来するコレステロールということです。

編集部:食事由来のコレステロールよりも、体内で合成するコレステロールのほうが多いといいますね。

佐々木:食品から摂取するコレステロールが血液中のコレステロール濃度に及ぼす影響は、かなりの個人差が認められます。「食品中のコレステロール=血液中のコレステロール」ではありませんが、全く別ものというわけでもありません。しかし、「コレステロールが多いものを食べるとコレステロール値が上がる」という単純なものでもありません。

血中コレステロールを上げる脂質、下げる脂質

編集部:では、コレステロール値に最も影響する食べ物は何ですか?

佐々木:1965年に米国の生理学者アンセル・キースは様々な種類の食事をたくさんの人に食べてもらい血中コレステロールの濃度を観察しました。その結果、「飽和脂肪酸」と「食品から摂取するコレステロール」が血液中の総コレステロール値を増加させ、「多価不飽和脂肪酸」が低下させることが分かりました(*1)。その後、たくさんの研究によってその正しさが再確認され、現在に至っています。

編集部:油の種類はいろいろあって、何に何が含まれているのかよく分かりません。

佐々木:食品に含まれている油脂は1つの脂肪酸で構成されているわけではなく、何種類かの脂肪酸が集合したものです。以下は、代表的な油脂の脂肪酸の割合を示したものです。

油脂に含まれる脂肪酸の割合は、油脂100g中に含まれる重量(g)。データは日本食品標準成分表2010に基づく。※四捨五入の影響で必ずしも合計は100にならない
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編集部:先ほどのお話を食品で言い換えると、肉の脂やバターに多く含まれている飽和脂肪酸やコレステロールは血液中の総コレステロール値を上げ、ひまわり油(高リノール酸精製油)、調合油(サラダ油)、大豆油、ごま油などに多く含まれている多価不飽和脂肪酸は総コレステロール値を下げるということになりますね。

佐々木:そうです。以下は、682人に飽和脂肪酸、一価不飽和脂肪酸、多価不飽和脂肪酸のいずれかを食べてもらい、血液中のコレステロールの変化を観察した研究をまとめたものです(*2)。総エネルギー摂取量の5%だけ、例えば1日に2000kcal食べる人なら、100kcal分のエネルギーだけを炭水化物からそれぞれの脂肪酸に食べかえたときの、血液中のコレステロール濃度の変化を示したものです。

脂肪酸の種類によってはコレステロール値を下げる方向に働くことが分かる。大きく上げるのは飽和脂肪酸だけと言っていい。27の介入試験のまとめ(総対象者数は682人)。[注2]をもとに作成
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佐々木:総コレステロールと悪玉コレステロールと呼ばれるLDLコレステロール(*3)が上昇したのは、3つの脂質のうち飽和脂肪酸だけでした。多価不飽和脂肪酸ではむしろどちらも下がっています。飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸では体の中での働きが大きく異なるということです。

編集部:「肉の脂は体によくない、魚の油は体にいい」ということはよく知られていますが、コレステロールにおいては、植物油はいいのですね。

佐々木:はい。血液中のコレステロールへの影響だけに注目すれば、私たちが日常的に使っている植物油はコレステロール値を上げないということになります。

編集部:いうことは、揚げ物を食べてもいいんですね。それは朗報!

*1 Keys A, et al. Serum cholesterol response to changes in the diet: IV. Particular saturated fatty acids in the diet. Metabolism. 1965;14:776-87.
*2 Mensink RP, et al. Effect of dietary fatty acids on serum lipids and lipoproteins: A meta-analysis of 27 trials. Arterioscler Thromb. 1992;12: 911-9.
*3 血液中のコレステロールにはLDLコレステロールとHDLコレステロールがある。LDLコレステロールは肝臓で作られたコレステロールを全身に運ぶ役割を担っている。増え過ぎると動脈硬化の原因になるため、悪玉コレステロールとも呼ばれる。HDLコレステロールは余分なコレステロールを回収して肝臓に届けるため、善玉コレステロールとも呼ばれる。この2つの総量が総コレステロール。

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