腰痛や肩こり、首や膝の痛みといった「整形外科的な痛み」の背景にあるのは、座り方や姿勢などの生活習慣。痛みを治し、再発させないための日常的な対処法を、整形外科医でカイロプラクターの竹谷内康修さん(竹谷内医院院長)が指南します。今月のテーマは「肘の痛み」。パソコン操作が原因で「テニス肘」「ゴルフ肘」になるそうです。なぜでしょう?
テニスをしないのに「テニス肘」になるのはなぜ?
前回、「手首から肘にかけての痛みやしびれ」について、オフィスワーカーに多い4つの症状を取り上げました。
- 1 頸椎症が悪化した状態
- 2 テニス肘、ゴルフ肘
- 3 手首の腱鞘炎
- 4 ドゥケルバン腱鞘炎(ドゥケルバン病)

このうち、今回は「テニス肘」と「ゴルフ肘」を主に紹介します。
肘の痛みを訴えて医院を訪ねてくる患者さんで多いのが、「テニス肘」という症状です。肘の外側(手のひらを上に向けた状態で親指側)が痛むのが特徴で、正式には「上腕骨外側上顆炎」(じょうわんこつ がいそく じょうかえん)と呼ばれます。
その名の通り、もともとはテニスをする人に多く見られる症状でしたが、最近ではテニスをしないのに「テニス肘」の症状を訴える人が増えているのです。
実は、その大きな理由の一つが、パソコンの操作です。なぜ、パソコンの操作によってテニス肘になるのでしょうか。それは、テニスとパソコン操作における腕と手首の動きに共通点があるからです。
テニスのバックハンドでラケットを振ると、ボールが当たった瞬間に腕の筋肉に大きな力がかかります。加えて、打った後に、その勢いでフォロースルー(打ったあとの動き)において手首を反らす(手首を背曲させる)形になることがあります。

こうして、手首に同じような力が何度も繰り返してかかることで、前腕部の筋肉、そして筋肉の付け根である腱に大きな負担がかかります。
実は、パソコンのキーボードやマウスの操作でも、長時間、手首を反らす形でキーボードやマウスを使うために、テニスのバックハンドでかかるような負担が、腕の筋肉や腱にかかり続けるのです。

それでは、なぜ手首を反らす動作を続けることで、肘が痛くなるのでしょうか。