腰痛や肩こり、首や膝の痛みといった「整形外科的な痛み」の背景にあるのは、座り方や姿勢などの生活習慣。痛みを治し、再発させないための日常的な対処法を、整形外科医でカイロプラクターの竹谷内康修(たけやち・やすのぶ)氏(竹谷内医院院長)が指南します。今月のテーマは「腕の痛み・しびれ」。手首から肘の間にある痛みやしびれには、さまざまな原因が考えられ、それぞれ対策が異なります。
「腕の痛み・しびれ」は原因別に4タイプ
今回、解説する「手首から肘にかけての痛みやしびれ」には、さまざまな原因があり、それぞれ対策が異なります。そうした腕の痛みやしびれの中には、前回までに紹介した「頸椎症」の悪化が原因である場合もあるのです。

ここでは、オフィスワーカーに多い4つの症状を取り上げます。順番に見ていきましょう。
- 1 頸椎症が悪化した状態
- 2 テニス肘、ゴルフ肘
- 3 手首の腱鞘炎
- 4 ドゥケルバン腱鞘炎(ドゥケルバン病)
1 頸椎症が悪化した状態
頸椎症の初期症状としては、肩こりや首の痛みがあります。これが進行すると、腕のしびれや痛みといった症状が現れます。つまり、肩こりや首の痛みが腕にまで及んだものであり、かなり重症といってよいでしょう。
前々回の記事「そのスマホの見方は危険! 肩こり・首の痛みを甘く見てはいけない」で紹介した頸椎症の4つの段階のうち、第3段階の「頸椎症性神経根症」にあたります。
特に、しびれや痛みが両腕に出たときには要注意です。頸椎症の第4段階である「頸椎症性脊髄症」や「頸痛椎間板ヘルニアの脊髄症タイプ」に進んでいく恐れがあります。さらに悪化すると、足にも症状が現れて歩行障害が現れてきます。そこまでになると手術が必要です。
2 テニス肘、ゴルフ肘
「テニス肘」「ゴルフ肘」という名前の通り、本来はテニスやゴルフなどのスポーツが原因で腕や肘が痛くなる症状を指します。ところが、テニスもゴルフもしないのに同じように痛くなる人が増えています。その主な原因はパソコンの操作です。
手首を不自然な形で曲げたまま長時間作業を続けることで、腕の筋肉が痛くなります。特に、肘の少し手首側が強く痛むのが特徴です。テニス肘とゴルフ肘は、痛む箇所や対処法が違ってきます。