腰痛や肩こり、首や膝の痛みといった「整形外科的な痛み」の背景にあるのは、座り方や姿勢などの生活習慣。痛みを治し、再発させないための日常的な対処法を、整形外科医でカイロプラクターの竹谷内康修さん(竹谷内医院院長)が指南します。今回のテーマは、「ぎっくり腰」です。
夏の疲れが出る初秋は、ぎっくり腰が起きやすい!?

今年(2018年)の夏は、これまで例を見ないほどの猛暑でした。早く秋がきて涼しくなってほしいと思っていた方も多いでしょう。実はこんなときに注意しなければならないのが、「ぎっくり腰」です。
ぎっくり腰でよくあるパターンは、重いものを持ったときや、不自然な姿勢をとったときに、腰に「ぎくっ」という衝撃が走り、身動きがとれなくなってしまうというもの。ただし、重いものや不自然な姿勢は、あくまでもきっかけにすぎません。それまでに腰の筋肉に大きな負担がかかっていて、「もう耐えられない」というぎりぎりの状態になっていたわけです。
実は、医学の世界では、ぎっくり腰という疾患はなく、あえて言えば「急性腰痛」の一種に分類されます。急性腰痛とは、急に激しい痛みが出て、2週間未満で快方に向かうものを指しており、「ぎくっ」ときたかどうかについては考慮に入っていません。X線撮影をしても、ほとんどの場合で異常は認められず、患部の特定が難しいことが多いのです。
ただ言えることは、ぎっくり腰の原因が、筋肉のこり固まりにあることです。筋肉がこり固まっていれば、腰だけでなく、脇腹でも肩でも首でも同じように急性の痛みを発症することがあります。寝ている間に首や肩に痛みが生じたものを「寝違え」といいますが、これは「ぎっくり首」「ぎっくり肩」と言い換えてもよいものです。
寝苦しい夜が続くと疲れが蓄積され、筋肉のこり固まりができやすくなるので、猛暑の後はぎっくり腰に注意しなければならないのです。今回は、そんなぎっくり腰の予防と、再発防止について紹介しましょう。