腰痛や肩こり、首や膝の痛みといった「整形外科的な痛み」の背景にあるのは、座り方や姿勢などの生活習慣。痛みを治し、再発させないための日常的な対処法を、整形外科医でカイロプラクターの竹谷内康修(たけやち・やすのぶ)氏(竹谷内医院院長)が指南します。今月のテーマは「腰痛に効くストレッチ」。座り仕事で固くなった筋肉を伸ばし、腰痛を改善するストレッチを紹介します。
「ハムストリング」の硬直が腰痛の大きな原因
前回までは、腰痛をもたらす大きな原因が「姿勢」と「蓄積」であること、そして腰痛の再発や予防には座る姿勢を意識することが大切だと述べてきました。今回は、腰痛を積極的に解消していくためのストレッチを紹介していきましょう。腰痛はさまざまな筋肉と関係していますが、中でも関わりが深いハムストリングと腸腰筋(ちょうようきん)が今回のポイントになります。
(※腰痛の悪化度や障害が起きている場所は人それぞれです。人によっては、合わないストレッチがあるかもしれません。もし、ストレッチの最中やストレッチの後に痛みが出た場合は、ただちに中止してください)
「昔は前屈をしたら手のひらが床についたのに、今では指の先もつかない」
読者の中にも、そう嘆いている人は多いでしょう。
前屈ができなくなる理由として、体の筋肉が固くなったことが挙げられますが、中でも重要なのが太ももの裏側にあるハムストリングという筋肉です。ハムストリングは、大腿二頭筋、半膜様筋、半腱様筋という3つの筋肉の総称で、その上端は坐骨(骨盤の下部)にくっついています。
そのため、ハムストリングが運動不足やデスクワークのしすぎにより、固まって縮まっていると、前屈しようとしても、ももの部分が突っ張ってしまって体が前にかがみにくくなってしまうのです。普段の生活の中でも、ハムストリングが固まっていると、前にかがんだ姿勢をとったときに骨盤を強く引っ張り、腰に余計な力がかかってしまいます。これが腰痛を起こすきっかけにもなるのです。