腰痛や肩こり、首や膝の痛みといった「整形外科的な痛み」の背景にあるのは、座り方や姿勢などの生活習慣。痛みを治し、再発させないための日常的な対処法を、整形外科医でカイロプラクターの竹谷内康修さん(竹谷内医院院長)が指南します。今回のテーマは、「五十肩」です。
多くの人が経験する「五十肩」とは?

人生で一度だけかかる「通過儀礼」のような疾患というと、子ども時代のはしかやおたふく風邪を思い浮かべる人がいるでしょう。でも、大人になってからもそういった疾患があります。
それが五十肩です。四十肩とも呼ばれ、ご存じのように、40代から60代にかけて、多くの人が悩まされる肩の痛みです。江戸時代には「長寿病」とも呼ばれていたとか。平均寿命が延びた現在では、誰でもなる疾患となりました。
まだ体験したことのない方のために、五十肩の症状を簡単に説明しましょう。
ある日突然、肩の関節付近に痛みが起こり、腕の可動域が狭まる。つまり、腕が動きにくくなってきます。さらに、腕を動かすだけでひどく痛みが走るようになり、腕を上げられなくなったり、直角以上に曲げられなくなってしまいます。また、腕自体(肘よりも上側)の痛みを訴える人も少なくありません。
そのために、服を着る、髪を洗う、靴下をはく、料理を作るといったことも難しくなり、日常生活に支障をきたすようになってしまいます。
五十肩で特徴的なのは、人によって症状の軽重、期間の長短はありますが、半年から1年くらいすると自然と治るということです。ただし、なかには7年間も痛みが続いたという報告もあります。
また、片側の肩だけで終わる場合もありますが、反対側も五十肩を発症することもあります。ただ、左右が同時に痛くなるということはまれです。そして、すでに治った側の肩が再び痛くなることもまれです。