腰痛や肩こり、首や膝の痛みといった「整形外科的な痛み」の背景にあるのは、座り方や姿勢などの生活習慣。痛みを治し、再発させないための日常的な対処法を、整形外科医でカイロプラクターの竹谷内康修(たけやち・やすのぶ)氏(竹谷内医院院長)が指南します。今月のテーマは「腰に負担をかけない座り方、かがみ方」。パソコン作業や、洗面などで前かがみになったときに腰を痛めないコツを紹介します。
腰痛をもたらす大きな因子は「姿勢」と「蓄積」
先月のコラム「腰痛の8割は原因不明! だからこそ大切な“腰に優しい”椅子選び」では、腰痛の8割が原因不明の「非特異的腰痛」だということを述べました。
腰痛の診断が難しい理由は、大きく2つあります。1つ目の理由は、レントゲンなどの画像診断では筋肉や神経が原因となる痛みは映し出すことができず、痛みの原因が見つかりにくいこと。そして2つ目の理由は、腰の周辺に痛みを生じる部位が密集しているためです。
腰痛を生じる主な部位としては、椎間板、椎間関節、神経、仙腸関節、筋肉、骨、骨膜、じん帯などがあります。これらが狭い範囲でお互いに連動して動くために、どこが傷んでも腰に同じような痛みを起こしてしまうのです。

ですが、たとえ8割が原因不明だからといって、対症療法だけに頼っているのでは進歩がありません。
私は、数多くの腰痛の患者さんたちと接しながら、腰痛を発症する大きな因子は何かを考え続けました。その結果、たどり着いたのが、「姿勢」と「蓄積」というキーワードです。
事実、腰痛を訴える患者さんは決まって姿勢が悪いという共通点がありました。詳しい説明は省きますが、持続的に腰に負荷がかかり続けることで負荷が蓄積されて筋肉のバランスが崩れ、結果的に筋肉や関節や軟骨などに炎症が生じていくのだと考えられるのです。
そして、既に負荷が蓄積して弱っている状態で、強く腰に負荷がかかる動作をしたとき(例えば、かがんだとき)に、一気に痛みが出るのだと考えられます。
ですから、普段から姿勢を意識して生活することは、腰痛の予防につながる重要な要素なのです。