腰痛や肩こり、首や膝の痛みといった「整形外科的な痛み」の背景にあるのは、座り方や姿勢などの生活習慣。痛みを治し、再発させないための日常的な対処法を、整形外科医でカイロプラクターの竹谷内康修さん(竹谷内医院院長)が指南します。肩こりで悩む人は、「頸椎症」の予備軍かもしれません。スマホの「自撮り」を利用したチェック方法を試してみましょう。
「たかが肩こり」が頸椎症の第一歩に

「肩こり」は、恐らくほとんどの方が一度は経験したことのある症状だと思います。厚生労働省の「国民生活基礎調査」によると、なんらかの自覚症状を持つ人のうち、肩こりを訴える人の数は国民1000人当たり174.5人(男女計、2016年調査)に上り、単純に計算すると、日本人の2200万人あまりが肩こりに悩んでいることになります。
「たまに肩がこる」という程度の人を含めれば、その数はさらに増えるでしょう。
それほど、私たちにとって身近な肩こりですが、実は「頸椎症」という病気の第一歩であることはあまり知られていません。
頸椎とは、脊椎(背骨)のうち、首の部分にある7個の椎骨のことをいいます。頸椎症の明確な定義は定まっていませんが、この部分になんらかの症状が表れる病気を、整形外科の分野では頸椎症と呼んでいます。
頸椎症は、加齢や生活習慣、悪い姿勢などを原因として、筋肉のこわばりから始まり、やがて骨や軟骨が変形をして、それが神経の圧迫を招き、さまざまな症状が起きていくものです。そのごく軽症の段階が、肩こりだというわけです。
頸椎症の可能性があるかどうかは、次の5つの項目でチェックできます。1つでも当てはまれば、すでに頸椎症の可能性があります(明らかにほかの病気やけがが原因である場合は除きます)。
頸椎症のチェックリスト
- 1. いつも肩や首がこっている。
- 2. 首を動かすと痛い、首が突っ張る感じがする。
- 3. 首を回すとボキボキと音がする。
- 4. 自分に合う枕がなかなか見つからない。
- 5. 腕がしびれて仕事や家事に差し支える。
(竹谷内康修著『自分で治す! 頸椎症』より)
ただし、「1つも該当していない」からといって安心できるかというと、そうではありません。実は、自覚症状がない人でも、頸椎症の「予備軍」であることが少なくないのです。そのままの生活を続けていると、どんどん悪化して、頸椎症になってしまうかもしれません。