腰痛や肩こり、首や膝の痛みといった「整形外科的な痛み」の背景にあるのは、座り方や姿勢などの生活習慣。痛みを治し、再発させないための日常的な対処法を、整形外科医でカイロプラクターの竹谷内康修さん(竹谷内医院院長)が指南します。今月のテーマは「膝の痛み」。膝を若返らせるスクワットについても解説します。
膝のトラブルは「ロコモ」に直結する

膝の痛みを訴える人は、加齢とともに増えていく傾向があります。女性の場合は50代から、男性は60代から症状が出はじめることが多いといえます。しかし、最近では30、40代からちょっとした症状が出はじめる人も増えてきました。その背景には、長時間のデスクワークによる運動不足があると考えられています。
膝の痛みが問題なのは、単なる体の一部の痛みというだけで終わらないことにあります。なぜならそれは、ロコモティブシンドローム(ロコモ)、そして要介護と深く関わっているからです。
厚生労働省「国民生活基礎調査」(平成28年)によると、介護や支援が必要となった人の原因疾患は、多い順に認知症、脳血管疾患、高齢による衰弱、骨折・転倒、関節疾患、心疾患、パーキンソン病、糖尿病、がんなどとなっています。
膝を含む関節の疾患は全体の5位で10.2%に上ります。また、4位の骨折・転倒というのは、足腰の筋力が弱ると起きやすく、膝の痛みとかなり関連があります。この12.1%を合わせると、要介護・要支援になった人の4分の1近くにも達するのです。
軟骨が削れていくことが痛みの原因に
加齢による膝の痛みの多くは、「変形性膝関節症」によるものです。この病名について、耳にしたことのある人は多いかもしれません。ちょっと聞くと、なにか特殊な病気のように思えるかもしれませんが、実は加齢によって誰もがなり得る病気です。
通常の状態では、私たちが走ったりジャンプをしたりして、膝に大きな力がかかっても、痛みを感じることはありません。それは、関節軟骨や半月板、筋肉などが衝撃を吸収しているためです。
中でも、膝の骨の端を覆っている厚さ2~4mmの関節軟骨が重要な役割を果たしています。軟骨の表面は滑らかになっており、骨と骨がこすれ合ってすり減ることを防いでいるのです。
ところが、40代以降、この関節軟骨は年間0.1mmという極めてゆっくりとしたペースで、すり減っていくと見られているのです。
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