腰痛や肩こり、首や膝の痛みといった「整形外科的な痛み」の背景にあるのは、座り方や姿勢などの生活習慣。痛みを治し、再発させないための日常的な対処法を、整形外科医でカイロプラクターの竹谷内康修さん(竹谷内医院院長)が指南します。今月のテーマは「脊柱管狭窄症(せきちゅうかんきょうさくしょう)」の予防と、発症してからの対処法です。
前回は、脊柱管狭窄症という病気がどのようなものであるか、発症までのメカニズムやほかの病気との違いなどを紹介しました。
脊柱管狭窄症は加齢によって誰もがなりうる病気であり、症状が進行していくと、要介護の要因であるロコモティブシンドロームやサルコペニアに直結することがお分かりになったかと思います。
脊柱管狭窄症による神経の圧迫

今回は、その脊柱管狭窄症の発症を予防するための生活習慣、そして発症してからの対策を中心に説明していきましょう。
覚えておいていただきたいのは、脊柱管狭窄症の症状が出たあとに何もケアをしないでいると、症状は悪化していく恐れがあるということです。そうではなく、生活習慣を改善して適切なケアをすれば、悪化をとどめることができます。また、症状が出て間もない状態ならば、症状を改善することも可能です。
脊柱管狭窄症を加速してしまう生活習慣とは?
脊柱管狭窄症の大きな原因は加齢であると言いましたが、それがすべてではありません。年を取っても発症しない人がいる一方で、40代で発症する人もいます。
生まれつき脊柱管が狭い人は発症しやすいという傾向がありますが、そのほかに生活習慣によっても大きく左右されるのです。
脊柱管狭窄症を発症する直接の原因とは言えませんが、加齢にともなう進行を早める要因になる生活習慣が、次の3つです。
1 喫煙
たばこに含まれるニコチンには、血管を収縮させる働きがあり、血流を低下させるといわれています。その結果、長期間喫煙を続けることで、筋肉、靱帯、神経、骨、軟骨の働きに悪影響を与えてしまいます。
2 運動不足
体を動かす機会が減ると、筋力が減るとともに筋肉の働きが衰えてしまいます。その結果、よい姿勢を保つことができなくなり、腰椎への負担が大きくなってしまうのです。
3 精神的なストレス
ストレスを感じ続けていると、中枢神経の働きが乱れ、痛みに過敏になることがあります。また、ストレスで気分が落ち込むと、自然と姿勢が悪くなって腰椎への負担を大きくしてしまいます。さらに、ストレスが続くと無意識のうちに体に力が入り、腰椎を圧迫する力が高まってしまうのです。
この記事の概要
