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榎木英介の「病理医の視点」

永六輔さんの命を奪った「高齢者の肺炎」にどう向き合うか

 榎木英介=近畿大学医学部附属病院臨床研究センター講師・病理医

(©Ivonne Wierink-123rf)

 マルチな才能を発揮し、お茶の間でおなじみだった作詞家でタレントの永六輔さんが亡くなった。83歳だった。

 私の世代(40代)にとっては、「永六輔さん」といえば浅田飴のコマーシャルや、軽快な語り口、厳しい体制批判が印象深い。その声がもう聴けないと思うと寂しい。ご冥福をお祈りする。

 報道によれば、死因は肺炎だという。晩年はパーキンソン病を患っていたとのことで、闘病の最後に肺炎になったのだろう。

 厚生労働省の人口動態調査(2014年)によれば、肺炎は死因の第3位。11万9650人、全死者の9.4%が肺炎で亡くなる。さらに、80~84歳に絞って見れば15.3%が肺炎で亡くなる。

 しかし、病理医として多くの亡くなった方を解剖させていただいた経験からみると、肺炎で亡くなる人はもっと多い印象だ。というのも、がん、心筋梗塞、脳血管障害など、さまざまな病気の“最後”、すなわち死因が肺炎だったというケースに多く遭遇するからだ。

 人口動態調査では、死因が「原死因」で示されている。この原死因という聞きなれない言葉だが、世界保健機関(WHO)によれば、「直接、死亡を引き起こした一連の事象、起因した疾病・損傷」または「致命傷を負わせた事故、暴力の状況」と定義されている。

 つまり、がんの末期にかかった肺炎が直接の死因となったとしても、原死因はがんとなり、統計上もがんで亡くなったということになるわけだ。報道では「肺炎」といわれていても、原死因が別にあった可能性は否定できない。

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