高血圧の治療といえば、降圧薬が中心。多くの場合、薬を一生飲み続けることになる。だが中には、なんと手術で治療できるタイプの高血圧があるという。それが「原発性アルドステロン症」。症状からは普通の高血圧と見分けがつかないが、簡単な検査で判別できる。そして手術を受ければ、もう降圧薬を飲まなくてよくなるケースも多いという。

高血圧は日本の国民病だ。現在の推定患者数は4000万人以上。実に、国民の3人に1人が高血圧を抱えている。
通常、高血圧と診断された人には、血圧を下げる薬(降圧薬)が処方される。それで血圧が下がれば一安心だが、その状態を保つには、薬を飲み続ける必要がある。治療のためとはいえ、生涯にわたって薬と付き合っていくのは、やはり煩わしいもの。そんな心理もあってか、高血圧と知りながら放置している人も少なくない。
ここで、血圧が高めの全ての方に、ぜひ関心を持っていただきたい病気がある。それが「原発性アルドステロン症」。アルドステロンというホルモンが過剰に分泌されて高血圧になる病気で、以前は非常にまれと考えられていたが、近年の研究により、高血圧患者の5~10%を占めることが分かってきた。
原発性アルドステロン症は、アルドステロンを作る「副腎」に、腫瘤などができて発症することが多い。この場合、腫瘤を手術で切り取ると、アルドステロンの分泌量が減って血圧が改善する。降圧薬がいらなくなることも多いという。名前はちょっと怖そうだが、実は「治療しやすい」タイプの高血圧なのだ。
高血圧患者を4000万人とすれば、原発性アルドステロン症は200~400万人。糖尿病の患者数(316万人)に匹敵する数だ。あなたがその一人である可能性も、十分に考えられるのである。
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