学生の頃からおとなしい性格で、自己主張が苦手。職場でもいつも場の空気を読んで意見を言ったり、ふるまったりしているので、気疲れしてしまうことがある。そんな自分を変えるにはどうしたらいいだろう。
日本には、伝統的に集団の「和」を大切にする文化が根付いています。相手の意をさりげなく読み取って、先回りして対応する「おもてなし」などもその象徴といえるでしょう。
しかし、近年は社会でも企業でもダイバーシティが推進され、変化の時代を迎えています。海外では自分の意見を主張するのは当たり前のことで、時に議論を戦わせながらも、理解や信頼を深めていきます。そうした文化が日本でも知られるようになったことで、自己主張ができなかったり、周囲に合わせたりすることをよしとしない風潮も生まれています。アドラー心理学を紹介した『嫌われる勇気』(岸見一郎・古賀史健 著、ダイヤモンド社)が100万部を超えるベストセラーとなったのも、相談者のように、いつも周囲に気を遣ってしまう「“いい人”をやめたい」と考える人が多い表れかもしれません。
「空気を読める自分」を肯定して受け入れてみる

場の空気を読み取って、その時々で適切な発言や行動ができることは長所といえます。そのようなさりげない気遣いをしてくれる人がいることで、職場の雰囲気が和やかになり、気持ちよく仕事に取り組めている人もいることでしょう。まずは「空気を読んでしまう自分」と否定するのではなく、「空気を読める自分」と肯定してみてください。
このような相談を受けたときにそう伝えると、それだけで「無理に自分を変えようとしなくてもいいんだ」と安心される方もいます。そう思えたなら、今の自分の長所を伸ばしていけばいいと思います。
ただし、場の空気を読みすぎて、自分の意思や感情を抑え込んでばかりいると、気疲れして、ストレスもたまります。それがいつしか鬱積して、怒りとなって突然爆発してしまったり、うつ状態を引き起こしたりすることもあります。
ですから、場の空気を読むことで気疲れする、「本当はこう思っているのに…」「こうしたいのに…」という葛藤があるなど、ストレスの自覚があり、「苦しい」と感じるときは、対処していくことも必要です。