ニッケイ太郎 「生活習慣病の薬は飲み続けなくちゃならないから、やっぱりジェネリックが安くて助かるなあ」
グッデイ花子 「でも、ジェネリックはオリジナルと違うメーカーが作っているから、効果も微妙に違うんじゃないの?」
ニッケイ太郎 「いや、有効成分はまったく同じだよ。それに、最近はオーソライズドジェネリックといって、オリジナルと全く同じものもあるんだ」
グッデイ花子 「お墨付きってこと?」
ニッケイ太郎 「まあそうだね。それから、スーパージェネリックっていうのもあるよ」
グッデイ花子 「オーソライズドジェネリックにスーパージェネリック…? なんだか知らないうちに新しいものが増えているのね。詳しく教えてよ」
薬の処方せんの「後発医薬品への変更可」のチェック欄に処方医師がチェックし、署名または捺印があれば、薬局は、先発医薬品の代わりに後発医薬品を調剤することができる―。後発医薬品の使用を促進するため、処方せんの様式にそんな劇的な変更が加わったのは、2006年春の診療報酬改定のときでした。それからはや10年。後発医薬品をめぐる状況は様変わりしています。
新薬の特許が切れた後に安く製造されるのがジェネリック

ピカピカの新薬(先発医薬品)を開発した製薬会社は、発売後5~10年間(特許出願から20年間)は特許に守られてその薬を独占的に販売することができます。しかし、特許切れを迎えた後は、他の製薬会社が、その薬と効能・効果、用法・用量、剤型などが同一な医薬品を製造・販売することができます。これが後発医薬品(ジェネリック医薬品)です。
一般に、1つの新薬が市場に出るまでには10年以上もの年月がかかり、研究開発にかかる費用も数百億円とされます。開発者がこうした開発コストを回収できるよう、先発品の公定価格(薬価)は高めに設定されています。
先発品は、新規物質の創製から始まって、動物試験、ヒトでの臨床試験(治験)など、様々な関門をクリアしなくてはならず、最終的に認可を得てめでたく世に出る薬は一握りにすぎません。一方、後発品の場合は、医療の現場で十分に実績を積んだ先発品について、有効成分をそのまま取り入れ、生物学的同等性(薬が血中に入る速度と量が同じこと)や安全性などを証明する試験をするだけで承認申請ができます。このため、先発品に比べると開発にかかる費用は格段に少なくて済みます。
後発品の価格は通常、先発品の6割以下にとどめられています。中には1つの先発品に対して20以上もの後発品が発売されたために競争が激化し、先発品の3分の1以下まで価格が落ちているものもあります。患者にとっては、この価格差がメリットになります。国としても、超高齢社会を迎えて医療経済が逼迫する中で、後発品の使用が増えれば薬剤費が大幅に軽減されるため、盛んに使用促進を図っているわけです。
特に入院では、半数以上の病床で1日あたりの定額支払い制度(DPC/PDPS)が導入されていることもあり、薬剤費を低く抑えるため、抗生物質、注射剤、抗がん剤など、院内で使用する薬剤は、既にかなりの割合が後発品に置き換わっています。